お店&施設情報 

府中に息づくお店探訪 「天地米店」

府中駅南口は再開発により大型商業施設が立ち並ぶ。その一方で周辺には様々な商店街があり、そこには地域密着型のお店が数多く存在する。また、大型商業施設の中にも昔ながらのお店が移転し経営を続けているものもある。府中には地域に息づくお店たちが創り出す魅力やエネルギーが溢れている。彼らは府中を盛り上げ、魅力あるまちを創る上で欠かすことのできない存在だ。
そんな素敵なお店を訪れ、働く方々から仕事への思い、府中への思いを聞いてきた。


大正13年創業の老舗「天地米店」(新二商店会)

今回紹介するのは、京王線府中駅南口から徒歩約4分の場所にあるお米屋さん「天地米店」さん。府中駅南口から「くるる」を過ぎた角を左折し、小金井街道に面する場所にお店を構え、「米」と大きく書かれた暖簾がお客様を迎え入れてくれる。
創業は大正13年。現在の店主の祖父が開業した老舗の米店である。インタビュー当日は、「五ツ星お米マイスター」の資格を持つ三代目店主の小澤量さんから、お話を聞かせていただいた。

 

屋号の由来

小澤さんにお店の歴史について伺った。

-(小澤)

創業は大正13年になります。屋号は、昭和の初め頃まで現在の東京競馬場の前を流れていた根岸川(ねいし川)では水車を回してお米を搗いたり粉を挽いたりしていました。その水車小屋の上の山が天神山、小屋のあたりが天神下と呼ばれ、それが転じて「てんぢした→てんぢ→てんち」と呼ばれていたことから屋号がつけられました。

 

五ツ星お米マイスターが厳選したお米たち

前述のとおり、小澤さんは五ツ星お米マイスターという資格を持っている。五ツ星お米マイスターとはどのような資格なのか。また、そのマイスターが選ぶこだわりのお米について教えていただいた。

-(小澤)

五ツ星お米マイスターというのは、全国米穀小売商業組合連合会で実施している認定資格で、お米の品種の特性、栽培方法、保存と保管技術、精米・炊飯技術などのプロフェッショナルのことを言います。
当店では約30種類のお米を扱っています。各地に様々な米がありますが、私自身が味、香り、品質などを確かめながら、生産者や他店からの情報、お客様からの声を大切にして農家さんから直接仕入れています。お客様においしい米を食べてもらいたいという思いを込めて、収穫過程で混入してしまう小石や状態の良くない米を選別した上で丁寧に精米し、確かな品質で安定した米を提供することにこだわりを持って作業しています。
また店頭に並べるときはお客様が好みで選ぶことができるよう、それぞれに米の特長のほか生産者、農地、農法などをわかりやすく表示しています。

 

時代とともに変化したお米の流通事情と専門店に求められる価値

府中でお米を販売していて感じる時代の変化について伺った。

-(小澤)

府中は年々人口が増えています。人口増加に伴い米の消費量は高まっているとは思います。ただ、今やスーパーなどの量販店やネットショッピングなどでお米が買え、各家庭にお米屋さんが配達し、御用聞きができない時代となりましたので、かつての販売量と同じ、とはいかないですし、それは仕方がないことです。
一方で、専門店だからこそ確かな目で米を生産者から仕入れてお客様においしい米を提供できる価値や、その過程にかかるコストを認識していただくお客様も多く、市内以外にも多摩市・稲城市・国分寺市、東村山市、遠くは山梨県北斗市などからお越しいただいています。
これからも専門店だからこそお届けできる価値というのをお客様に提供できればと思います。

 

お客様の声がなによりの喜び

最後に、小澤さんが感じるやりがいとお米の楽しみ方について伺った。

-(小澤)

やりがいは、やはりお客様に喜んでもらえることですね。また、米に対する生の声が聞けること、おいしいものがわかる方に出会えることですね。どなたかの口伝えで「ここのお米はおいしいって聞いたから来てみた。」とお客様から聞くこともあり、嬉しい限りです。
皆さんにはいろいろな米を先入観なしで食べていただきたい。その中で自分の好みに合った米を選んでもらえたらと思います。また、米の保管方法や炊飯方法など、ここでしかわからない情報もありますので、気軽にお立ち寄りいただき聞いてください。

 


【プロフィール】
小澤 量/五ツ星お米マイスター。店頭には厳選された約30種類のお米が並ぶ。「いろいろな米を先入観なしで食べていただきたい。気軽にお立ち寄りください。」

【店舗情報】
天地米店/新二商店会
所在地:府中市宮町1-34-14 デュオ府中101
電話:042-361-2511
定休日:日曜日
営業時間:9:00~19:00