府中に息づくお店探訪「Oyster Bar ジャックポット 府中」inぷらりと京王府中

全国の美味しい牡蠣を府中に

今回取材をしたのは、ぷらりと京王府中東1階にお店を構える「Oyster Bar ジャックポット 府中」さんです。
こちらのお店は都内に8店舗展開する人気の牡蠣バーで、2024年1月に府中店がオープンしました。一年を通して美味しい牡蠣料理を提供されていて、生牡蠣や焼き牡蠣、牡蠣フライはもちろん、牡蠣グラタンや牡蠣パスタ、オイスターシューターなど様々な牡蠣料理を楽しむことができます。

▲一番人気の牡蠣フライセット

府中との関わりや料理のこだわりなど、オイスター事業部長・洋食総料理長の菅峰樹さんにお話を伺いました。

素材のこだわり

JACKPOTでは、その時期に一番良い状態の牡蠣を日本全国から仕入れていて、 1店舗あたり10種類前後を揃えるようにしています。うちの会社には、日本でも3本の指に入る牡蠣専門の「元グランドオイスターマイスター」がいるんです。（現在は団体自体が無くなっています。）彼は前職からずっと牡蠣の仕事をしてきた牡蠣のプロフェッショナルで、彼自ら産地に足を運び仕入れをしています。同じ時期でも海の状態によって取れる牡蠣が違ってくるので、「この時期にはこの牡蠣」と決め打ちはしません。常に生産者と連絡を取り、お客様に一番美味しい牡蠣を提供しています。
たくさんの種類の牡蠣があるので、どれにしようか悩まれるかもしれませんが、お店のスタッフが丁寧に違いやおすすめを教えますので、お困りの際はご相談ください。

店舗には平日で 100 個以上、週末で 200 個以上の牡蠣が送られてきます。それらは店舗に到着すると 15 分以内に氷に漬けられ、その後すぐに冷蔵されます。生牡蠣として提供されるものは到着から３日以内のものです。４日経ったものでも保存状態が良ければ生で食べられるのですが、焼牡蠣や蒸牡蠣にすることで、フレッシュローテーションを保ち、お客様に安心して生牡蠣を召し上がっていただけるようにしています。

素材の良さを引き出す工夫

お召し上がりの際、牡蠣本来の味を味わっていただくのももちろんですが、ずっと同じ味だと飽きがきてしまいます。だから味変しながら食べてもらおうと、いくつかの調味料を用意しています。
例えば、塩ポン酢、赤ワインビネガー、西洋わさびのレフォール、ピリ辛のチリソース、オイスターペッパーです。
赤ワインビネガーはヨーロッパで主流のさっぱりとした味わいのお酢です。オイスターペッパーはフランス産で牡蠣に合わせてブレンドされた胡椒です。これを提供しているところは少ないですね。例えば赤ワインビネガーにオイスターペッパーをかけて食べると、風味に変化をもたらすことが出来ます。
あともう一つ珍しいのが、ボウモア。これはスコットランドのアイラ島にある最古の蒸留所で作られたスコッチウイスキーです。現地ではこのボウモアを牡蠣にかけて食べるのが主流なんですよ。燻製する際に、海風の影響を受けたピート（泥炭でんたんという海産物等で出来た炭）で燻すため、香ばしく、海の幸に合うんです。
一番のおすすめはレモンだけで食べていただくことなんですけど、せっかくオイスタバーに来たらこういうものも楽しんでもらいたいですね。

最高の料理には最高のお酒を

JACKPOTではお店の洋風の雰囲気に合わせて白ワインやスパークリングなどのお酒を多く提供しています。例えば、辛口の白ワイン「シャブリ」は牡蠣に合うお酒として世界的に有名です。
それなりの値段がするものから、安価なものまで様々なお酒がありますが、どれも牡蠣に合うお酒ですので、お客さんのニーズに合わせてお選びいただけます。牡蠣と相性の良いレモンサワーもおすすめです。牡蠣とレモンに含まれるクエン酸は合いますからね。あとは日本酒や今流行りのハイボールもあります。

ベストセラーではなくロングセラーになるために

JACKPOTでは、長く愛されていくためにサービスや接客に力を入れていま す。また、お客様を飽きさせないよう、月替わりのメニューを作ったり、グランドメニューに季節の食材を取り入れたりしているので、料理から季節を感じることが出来るのも、魅力の一つです。
私は洋食の料理長でもあり、メニューについての責任者でもあるのですが、メニューを考える上で、一番大切だと思っていることは、自己満足にならないことですね。お客様のニーズや時代の流れに合わせないと客離れしてしまいますから、何が流行るか、何をしたらお客様を呼べるのかを日々考えています。

ただ、流行りのものを入れればお客様を呼べるかもしれませんが、その時だけになることが大半です。目指すは、町の洋食屋さんのオムライスやとんかつ屋さんのとんかつのように、「ロングセラー」であること。そのために大切なのは、奇抜なことをするのではなく、いかに素材をうまく使いこなすかです。地味に聞こえますが、料理を作るうえで一番大切なことです。
また、どれだけ美味しくても、待たせすぎてはお客様に喜んでいただけません。いかにすばやく、いつも同じ味を提供できるかも重要だと思っています。

府中に密着して

JACKPOTは本社が下北沢にあって、お店も地域に密着できるような場所に出店しています。新宿など都心の方にもありますが、下北沢や町田など比較的小規模な街が多いですね。こちらの府中店では、高齢の方や子育てを終えた方、家族連れなど、地域の方が多くいらっしゃいますので、温かい雰囲気でお迎えしたいと思っています。例えば代官山や、新宿の方だったら冷たくておしゃれな店も良いですが、府中では温かい雰囲気の方が地域に溶け込みやすいのではないかと考えています。
また、メニューに関しても都心とは違いますね。新宿なら、たくさんお店がある中、牡蠣を食べたいというお客様がうちに来ますから、牡蠣だけでも十分です。しかし、府中では他のものも食べたいというお客様のニーズがあるので、おつまみ、一品、パスタなどを用意し、お酒と一緒に楽しんでいただけるようにしています。府中には様々なイベントがありますから、そのイベントをチャンスに多くの方 にこの店を知ってもらいたいですね。そしてまた来ようと思ってもらえるよう、気軽に来れるフレンドリーなお店になっていきたいです。

筆者コメント

今回菅さんにお話を伺い、「地方で牡蠣を食べるとその地方の牡蠣だけでしょ。広島行って宮城の牡蠣とかないでしょ。」とおっしゃっていたのが印象的でした。物流が発達している東京だからこそ、全国から来た様々な牡蠣を食べ比べできるんですね。府中の皆さん、「Oyster Bar ジャックポット府中」さんで様々な牡蠣を手軽に楽しみませんか。

店舗情報

Oyster Bar ジャックポット 府中
営業時間：【平日】ランチ 12:00～15:00／ディナー 17:00～23:00【土日祝】12:00～23:00
定休日：なし
住所：〒183-0055 東京都府中市府中町1-3-6 ぷらりと京王府中東1階
TEL 042-319-8929

文：伊川ありさ（まちづくり府中インターン・武蔵野美術大学学生）
写真：本間美実子（東京農工大学学生）