2021年 1月

【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪 プログラミング教室「ぽてっく」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
プログラミング教室「ぽてっく」さんの講座は中止となりました
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


未来のプログラマーを育てる ぽてっく

プログラミング教室「ぽてっく」は、府中駅から徒歩3分の三ッ木寿町ビル10階、ハードウェアに組み込むICチップ開発などを手掛けるアドバンスデザインテクノロジー社の事務所のすぐそばで開かれています。地元府中の小学生を対象とした少人数の地域密着型教室で、教室が始まってからすでに3年が経ちました。ぽてっくで考える力を伸ばした子どもたちの中には、さっそくエンジニアを志す児童もいるといいます。子どもたちの自主性を大事にしながら授業を行っているというぽてっくさんにお話を伺いました。

子どもたちのポテンシャルをTechの力で引き出す

「ぽてっく」は、子どもたちのポテンシャルをTechの力で引き出すことをテーマに子どもたちにプログラミングを通して論理的な思考を育むことを目的とした教室です。プログラミングに必要な基礎的な知識を学んだあと、子どもたちが自分たちでアイディアを出し、それに現役のエンジニアがアドバイスなどサポートしながら実際に作っていくという形で運営しています。

アイディアを、自分でカタチにするという工程を経験することで、自信や主体的な行動力を身に着け、モノづくりの楽しさを学ぶことができます。

ゆくゆくは子どもたちが本物の開発者となることが私たちの楽しみです。

無限の答えから自分だけのアイディアを

ぽてっくでは、先生が子どもたちに知識を教えるのではなく、子どもたちが自分たちでどのように進めていくかが重要になります。そのため、他の塾とは異なりマニュアルが存在しません。プログラミングは答えが無限にあるので、マニュアルを作ってしまうと生徒のアイディアをつぶしてしまう。そこでそのアイディアを潰さないよう、技術会社が運営している強みを活かしてどんなテーマにも現役のプログラマーの豊富な知識で柔軟に対応し教えています。

生徒作品:土の湿度などをセンサーで測定し水やりのタイミングを教えてくれる

 

基本はラズペリーパイと呼ばれる小さなコンピューターのようなものを使って授業をしていきます。授業が進むにつれて難しくなっていくので、自分自身で考えていくことができるようにサポートしながら教えています。私たちが一方的に伝えるのではなく、プログラミング言語を学ぶ際に必要な「考え方」について集中的に学んでいきます。

豆電球の回路を組む授業があるのですが、電球を光らせることに成功すると「やったー!」「嬉しい!」などという声が上がります。また保護者の方からも「子どもがよく考えるようになりました。」といった声から「雑な性格が直りました。」といった声まで、さまざまな感想をいただいています。

まちゼミへの参加を検討している方へのメッセージ

プログラミングの授業が小学校で始まったこともあり、プログラミングに対する苦手意識や不安を抱えている子どもたちもいると思います。

今回のまちゼミでは、そうした子どもたちにプログラミングとは実際にどんなものなのか、プログラミングを通して物を作ることの面白さや楽しさを伝えることができればと思っています。

実は、プログラミングで大切なことは読解力です。算数や理科が苦手でも、考える力のある人は年齢を問わずプログラミングに向いています。
子どものうちからプログラミングの考え方を学ぶことで、子どもたちが将来活躍するための大きな糧になると思っています。

換気、消毒、検温、さらには1対1指導への変更など新型コロナウイルスへの感染対策も入念です。ぽてっくに小学校1年生から6年生まで通えばアレクサのような装置を作ることも可能だというお話でした。これからの

デジタル社会に必須ともいわれるプログラミングについて知るきっかけに、ぽてっくさんのまちゼミ講座に参加してみてはいかがでしょうか。

 

【インタビュー・文】森田馨(東京外国語大学1年)

【写真】山下聡一郎(東京外国語大学3年)


【店舗情報】

プログラミング教室「ぽてっく」

住所:東京都府中市寿町1-1-3三ッ木寿町ビル10階
電話番号:042-306-5667


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「Un Charme Cafe(アンシャルムカフェ)」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
「Un Charme Cafe」さんの講座は中止となりました
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このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


 

府中駅から歩いて徒歩2分。ひっそりとたたずむUn Charme Cafeは、大きな扉と小さな扉で私たちを迎えてくれます。扉が二つある理由はまた後ほど。

 

ドアを開いてそのあまりにおしゃれな店内に思わず声が出ました。明るすぎない空間に、温かみのあるペンダントライト、それを包む音楽は、憧れをそのまま描き出したような大人の空間。

 

ここ、UnCharmeCafeは新鮮な食材を使った料理、食べるのがもったいないようなかわいい見た目のスイーツ、お酒も頂ける人気のカフェです。

 

そして実はこのお店、これまた素敵な美容室さんが経営されているんです。そちらの記事もぜひ読んでみてくださいね。

 

 

「大人も子ども居心地のいいカフェ」

当時府中にはあまり個人経営のカフェがなく、自分が行きたいと思えるようなお店がありませんでした。行きたくても子供を連れていける雰囲気ではなかったり、子どもにはよくても大人がゆったりできなかったり。子どもばかりに焦点を合わせるのではなく、大人がくつろげてなおかつ子供も静かに遊べるような、今までになかった良いとこ取りのお店を作りたいという思いがありました。

ですから、ソファから子供が見える場所に子どもが遊べる場所を作り、トイレは広く、おむつ替えや何人も子供のいるお母さんにも使いやすい作りにしてあります。
また、美容室が出したカフェとしておしゃれさにも力を入れました。子ども連れの家族も、カップルも、幅広い層のお客様が楽しめるような空間になったらいいなと思っています。お店の入り口が大きい扉と小さな扉があるのももちろん、大人もお子さんもいらしてください、というメッセージでもあります。

 

-お子さんが遊べるスペースは小さなお家のような場所。お子さんも楽しいひと時を過ごせそうです。

もちろんお食事にもこだわりあり。地元の素材を使い、おいしく、体に優しい料理を提供しています。手作りにこだわり、研究を重ねた品々です。おしゃれなパンケーキからからがっつり食べられる料理まで、幅広いお客様に楽しんでいただけるものになっております。お子さんと気軽にいらしていただける、おしゃれな空間となっております。

 

「美容室が出したカフェ」、その軌跡

実は美容室が始める当初、三年経ったらカフェを開こうという計画だったんです。というのも、独立する前の職場で、スタッフと面談しているときにいつかはカフェで働きたいと言うものですから、そのスタッフと一緒にずっと働けるような職場を作ろうということになりました。

カフェを作る場所も、ゆかりのある今お店を出しているこの場所をずっと考えていたのですが、某有名チェーン店が交渉をしていると聞いて一度はあきらめ、貯めていた資金を社員のハワイ旅行に充ててしまったんです。ですから、もう一度チャンスが巡ってきたときに元手がなく、途方に暮れていました。

そんな時、お客さんに助けてもらおうと美容室でクラウドファンディングを始めました。当時はクラウドファンディングなんて言葉はまだなかった時でした。一口一万円のファンドで、お店を開けたら一万二千円の金券にしてお返しする、開けなかったらそのままお返しする、として募ったところ、美容室のお客様がたくさん協力してくださいました。
常連さんが応援してくださったのももちろん、初めてのお客さんでも私の語る夢に乗る、と出資してくださる方もいて本当にうれしかったです。もう自分だけの夢ではない、頑張ろうと思いました。一口一万円のファンドだったので、口座を作ったときに最初に入れた五円が10005円、60005円…といったようにずっと見えるんですね。‟ご縁“をその都度、感じていました。

カフェを始めた当初のスタッフもほとんどが美容室のお客様で、まさにこのカフェは”ご縁“に支えられてきました。‟ご縁”の通帳は私の宝物です。

 

-お客さんが居心地良く感じられる空間づくりに徹したカフェ、その根底には、お店がずっと忘れず持ち続けている、お客様への感謝の想いがありました。

「店名‟Un Charme Cafe“に込めた願い」

 

これは私の兼ねてからの希望だったのですが、カフェも美容室の店名にも花言葉を込めています。Un Charme Cafe のUn Charmeはフランス語で“幸せになりますように”という意味のおまじないです。
店のロゴマークも自作していますが、ロゴの中央にKが描かれています。これはカランコエという花の名前のKですカランコエには“たくさんの小さな思い出”という花言葉があります。お客様がこのカフェに来て幸せな思い出をたくさん作ってほしいという願いを込めました。
また、ロゴの背景は丸型で、これは先ほどの五円(ご縁)にかけています。

 

「一皿を、さらに特別にするデコレーション」

 

まちゼミでは「親子で楽しむパンケーキデコレーション」の講座を行います。パンケーキは皆さん良く作ると思うのですが、今回はよりかわいく、気分が上がる、おいしそうに見えるデコレーションのコツをお伝えします。
お家にあるものやちょっとした工夫でおしゃれに「映える」パンケーキを作ります。お子さんと一緒にデコレーションして写真を撮るまでを楽しんでいただけたら、「飾る」ことの楽しみを知っていただけたらと思っています。

 

府中のUnCharmeCafeは、「こんなカフェがあったらいいな」を形にしたようなおしゃれでゆったりできる空間でした。細かなところまで行き届いた気配りは、お店の方々の人柄を反映しているようにも感じました。
“ご縁”がこのカフェに訪れる理由もわかった気がします。せわしい日常から一歩離れて、何時間もいたくなるようなUnCharmeCafeでくつろぎのひと時を。みなさんもいかがでしょうか。

 

【インタビュー・文】小池今日佳(東京外国語大学1年)

【写真】森麻里永(東京外国語大学4年)

 


【店舗情報】

Un Charme Cafe(アンシャルムカフェ)

住所:府中市府中町1-7-3恩田ビル2F
電話番号:042-335-8010


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「RaRuhe(ラルーエ)」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
「RaRuhe(ラルーエ)」さんの講座はオンラインに移行して実施されます。
講座番号20親子でオシャレに!3 分簡単ヘアアレンジ☆
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


 

株式会社BLP, Beautiful Life Partner。お客様の人生の一ページに私達スタッフも映り込みたい。そんな想いで経営する美容室とカフェが府中にあります。今回は、開放的でおしゃれな店内の美容室、RaRuheを訪れました。

誰にも開かれた美容室、‟RaRuhe“、その軌跡

もともと福祉の世界で仕事がしたく、美容師の資格はそのためにとりました。でも免許があったところで美容師になれるわけではありません。美容師の技術を身につけた状態で福祉の現場に生かせるように先に美容師になろうと考え、老人ホームなどにもお店を持つ美容室に就職しました。しかし、責任者に任命していただいてからはお店を離れることが難しく、徐々に介護の現場に出向くことは少なくなっていきました。

当初は訪問美容をやりたい志があったにも関わらず、10年働き続ける中でその会社に一生を捧げるつもりでいたので、独立したい気持ち自体を忘れていました。
そんな中、同じ会社の先輩がここの物件を見つけ、自分たちで店を持とうと声をかけられたところからが急展開でした。仲間に声をかけ、話は進む中で最初に提案した先輩が抜けるという苦境もある中で立ち上げたお店でした。そんな折10年前に自分が書いたデリバリー美容室についてのプレゼン資料が出てきました。改めて見てみると、その時に書いた必要経費、人数、始める時期、すべてが今回の独立と一致していたんです。もうこれはやるっきゃない、と覚悟を決めました。もともと美容室を出そうとしていたわけではないのですが、急に道が開けた思いがしました。

美容室の時間、空間、丸ごと “楽しみ”に

オープンの三年後にはカフェを、そして五年後には訪問美容を始める計画で始めました。新しく老人ホーム等のサービスを始めるというよりは、今担当しているお客さんが年を取ってお店に通えなくなったとしても、サービスを受けられる環境を作りたい、一生担当したい。という思いからです。お店はバリアフリー仕様になっており、重度の障害者の方も来ていただけるようになっています。美容室に行けたという喜び、この時間を楽しむことも大事だと考えてますので、来た時におしゃれだな、ワクワクするな、と思っていただけるような空間を作りました。

スタッフ6人のうち4人がママさんで、お子さん連れのママ達にも気軽に立ち寄って頂いてます。多くが子育て中または経験者なので、小さな子どもたちの相手もお手の物。空いているスタッフが相手をしたり、小さな子が楽しめるようおもちゃやDVDを用意したりすることで、来ていただいたママさんたちがカットなどの間もリラックスできるようにしています。美容室はカット、カラー、パーマなどとやっていると三時間、四時間はかかるので、。カフェのカウンターを作ってドリンクを提供させていただいたりと、お客様がその時間をカフェに居るかのようにゆったり楽しく過ごしていただけるよう工夫をしています。

店名‟RaRuhe“に込めた願い

店名RaRuhe(ラルーエ)はラウムとルーエの造語です。「安らぎ」と「空間」を意味する二単語で安らぎの空間を表しました・ラウムもルーエもRから始まり、美しさ、幸福などの素敵な花言葉をもつラナンキュラスの花もRから始まるので、店名のRaRuheのRは大文字になっています。最高の美を提供できる安らぎの空間、という意味を込めています。

こだわりのオリジナル商品

RaRuheでは、自社でトリートメントやシャンプー、ヘアオイル等を作っています。シャンプーに何を使うかというのはカラーの持ちやダメージの大きさ、トリートメントの持ちも全く違ってきます。お客様の髪質、悩み頭皮の状態にあったものを使うと髪が本当に扱いやすくなります。オリジナルの商品ができる前も多くのシャンプーを取り扱っていましたが、これは質感がいいけど香りが今一つ、香りはいいけど泡立ちがちょっと…などとここはいいんだけどこれがなぁ、というのを妥協しながら使っていました。それぞれの商品の長所を組み合わせた商品を作れたら最高だな、と考えていたときにご縁があり、オリジナル製品を作ることができました。一からこだわって作り、お客様に選んでいただけるよう、成分が全く同じで香りの違う製品を作ることができました。納得のいく商品ができるまで一年半かかりました。オリジナルで広告費等が掛からないので成分の割にはお安くお買い求めいただけます。それぞれの商品のパッケージにはラナンキュラスの花言葉が添えられています。

三分でできる簡単ヘアアレンジ

今回のまちゼミは「三分でできる簡単ヘアアレンジ」というテーマで行いたいと思います。やはり今はコロナ禍でマスクをする機会も多いですよね。見えるのは目元と髪型くらいですが、なかなか美容室にも行きにくい時分です。そんな中、自分で簡単におしゃれにできるヘアアレンジのポイントをお伝えしたいと思います。自分にできるものはもちろん、親子でできるものもあるので、お子さんのヘアアレンジも楽しんでいただけたらと思います。

お客様の人生の美を、ずっとプロデュースできるように。RaRuheが見つめるのは遥か先まで続くお客様との明るい未来です。美に限らず、スタイリング中のお話も大切にされています。悩み相談であったり、恋愛相談であったり…。その空間ごと、多くの方に愛されているのだろうなと感じました。最早、ただスタイリングに行く場所ではない、くつろぎの空間がここにはあります。ふらりと立ち寄った日からRaRuheとの人生がスタートするかも…。

 

今日もRaRuheには軽やかな笑い声が響きます。是非一度、足をお運びください。

 

【インタビュー・文】小池今日佳(東京外国語大学1年)

【写真】森麻里永(東京外国語大学4年)

 


【店舗情報】

RaRuhe(ラルーエ)

住所:府中市宮町1-35-6キクチビル1F
電話番号:042-335-8010


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「花はよしがき」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
「花はよしがき」さんの講座は中止となりました。

【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


交番よりも道を聞きやすいお花屋さん

 

けやき並木の大通りから一本入り、落ち着いた雰囲気の通りをしばらく進むと、突如鮮やかに映えた店構えが現れます。草木の緑とカラフルな花々、そして可愛らしいポップで和やかな雰囲気を醸し出すこちらのお店が、今回ご紹介する生花店「花はよしがき」さんです。

この記事では①どのようなお店なのか、そのコンセプトとは・②お店のこだわりポイント・③今回のまちゼミで行う講座の概要とその思いについてご紹介していきます。

Friendly Florist

「吉垣生花店」は1946年創業で、70年以上の歴史がある花屋です。その間ずっと大事にしてきたのは、お客さんや町にとって役に立つお店作りをすること。コンセプトは”Friendly Florist”(フレンドリーフローリスト)。ただモノを売るだけではなくて、人が声をかけやすい、入りやすいお店にするのが一番意識してる所です。買い物じゃないお客さんでも声をかけやすい、いわば”交番よりも道を聞きやすい店づくり”というのを目指しています。

花を売るときに心がけていることは、「送る人の気持ちが一緒に乗っている」というのを意識すること。受け取る人に喜んでもらうというのは非常に大切なので、送り主(お客さん)にヒアリングをすることがよくあります。「あげる相手はどんなイメージの方?普段何色を持つことが多い?」という風にヒアリングをして、贈る花のコンセプトを一緒に決めていきます。四季にあったものやイベントごとの花についてアドバイスできるのも、専門店ならではの仕事だと思っています。お花について分からないことがあったら、私たち花屋に相談してくださいね。

花言葉について聞かれることもありますが、基本的には意識しないようにしています。一生懸命咲いているものに、人間のスタンスで言葉をつけてしまっているのは可哀そうですから。例えば、黄色いバラには”博愛”という意味のほかに”嫉妬・妬み”という意味が、アジサイには”移ろ気”という意味がついています。しかし、もともと花は全部きれいなものです。誰かに花をプレゼントするときは、花言葉を意識するのではなく、その相手の本当に好きな花、本当に似合う花をあげる方がいいのでは、と思っています。

 

四方良しのお店作り

鮮度は非常に大切にしています。花がもつ期間というのは、持つ人の手のかけ方によって大きな偏りが出るので、お客さんには管理方法のアドバイスを丁寧にしています。また、(お店で売る期間に)見切りをつけることも大切。「まだ売れる」と思って売ってしまうと、お客さんが帰ってから楽しむ期間が短くなってしまう。それは正直な商売じゃない。大切なのはお客さんが帰ってから楽しむ時間なので、これはもう売れない、というのは売りません。

一方で、式典や開店などのお祝いでのお花は、長く持つことよりも、「その一瞬に満開であること」が重要です。状況に合わせたお花の役割を考えることで、無駄になってしまうお花も少なく、多くの方に楽しんでいただけます。

また、商売の原則で一番大事にしているのは「四方良し」という意識。近江商人の三方良し「売り手良し、買い手良し、世間に良し」(自分たち、お客さん、社会的に正しい商売をして良いものを売る)に加えて、「作り手良し」、つまり生産農家さんにとって良い商売をするということです。これが「花はよしがき」のコンセプトの大前提にあります。私たち小売事業者は、生産農家さんが一生懸命作ってくださることで初めて商売が成り立ちます。だから、適正な価格で仕入れて、適正な付加価値を付けて売る。そういうところが、「四方良し」で非常に大切な部分だと思っています。

花束文化を日本に

まちゼミでは「手軽に楽しくフラワーアレンジメント」という講座をやります!イメージは、全くの初心者、花に触ったことない人に楽しんでもらうこと。あえて9時からという遅い時間にしたのは、仕事がある男性陣に楽しんでもらいたいからです。

講座では、バレンタインもしくはホワイトデーに向けてのアレンジメントを作る予定です。実は、日本以外の国ではバレンタインに男性から女性に感謝を込めて花を贈ります。この”フラワーバレンタイン”を日本にも広めたいんです。また、日本の男性は花束を買ってもほぼ100%「袋に入れてください」と言いますが、その理由は「恥ずかしいから」。海外のように花が生活に根付くようになって、颯爽と花束持って歩くような文化が日本にも根付いてほしいですよね。今回のまちゼミが、これを広めていく一つのきっかけになれば良いな、と思っています。

快くインタビューに答えてくださった吉垣さんとそのご家族・従業員の方々、ありがとうございました!お店に行くと、おおらかで人のいい店主さんと、お花に囲まれた心休まるひと時を過ごすことができます。是非訪れてみてはどうでしょうか。

【インタビュー・文】宇田川あみ(東京外国語大学3年)

【写真】山下聡一郎(東京外国語大学3年)

 


【店舗情報】

花はよしがき(吉垣生花店)

住所:府中市宮西町2-9-4
電話番号:042-360-2724


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「株式会社セカンドファクトリー」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
セカンドファクトリーさんの講座30番「
紙からWEBへ申込&アンケート作成講座」はオンラインに移行し開催されます。
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


府中駅から徒歩3分ほどのところにオフィスを構えるIT企業「株式会社セカンドファクトリー」を22歳の時に起業された斎藤さん。現在、府中における様々な市民活動に関わっていらっしゃいます。

株式会社セカンドファクトリーとはどのような会社なのか、そして市民協働活動や今回のまちゼミの内容にこめる思いとは。

 

株式会社セカンドファクトリーについて

デジタル*社会価値*未来創造ということをテーマに、企業のデザイン戦略やシステム開発、そして食に関連する事業も行なっています。

これまで行なって来た案件の例としては、JAL国内線のチェックイン機の開発があります。人が行なっていた部分をデジタル化し、人件費削減・外国語対応・時間短縮を実現させました。

別の例としては、こどもチャレンジの「赤ペン先生」のデジタル化。

従来の赤ペン先生は、生徒が送った答案を郵便で送信し、先生が一枚一枚手書きでフィードバックを記入し、各家庭に返送するという方法を取っていましたが、紙媒体だとどうしても時間がかかってしまう。この過程を「紙からデジタルへ」移行するにあたっての仕組みを作りました。

デジタル赤ペン先生。開発に当たってこだわったことは

デジタル化によって赤ペン先生の良いところが失われないようにした上で、さらに新たな体験を提供できるように努めました。

例えば、丸付け。

丸つけの止め・はね・はらいには赤ペン先生の勢いや思いが全て乗っています。先生のその熱意や思いが、デジタルになっても失われないようにしたいと思っていました。そこで、「丸付けをアニメーション化する」という方法をとりました。子供達は先生による採点がリアルタイムで行われているかのような臨場感と身近さを味わうことができます。

これは、他の案件を通しても行ってきた「体験デザイン」の良い例ですね。

こと、モノ、人、環境をデザインすることで新たな体験を創造するというのが私たちのテーマの一つでもあります。こうしてデジタルツールを作ることで多くの人に新しい体験を提供していくということにやりがいを感じています。

 

新たな価値の創造

デジタルツールを通して便利さや効率を追求するだけではなくて、その人が気づいていないなりたい自分・使っていて楽しくなるようなものを提供したいと思っています。それはつまり問題解決のその先の、価値創造です。

わかりやすい例としては、過去に作成したにっこりすると出勤時の打刻ができるという顔認識打刻ツール。出社時に笑顔を作ることで気持ちよく1日を始められるうえ、打刻という行為が楽しいものに変わりますよね。

体験デザインを通して新しい価値を提供するにあたって、利用者に徹底的に寄り添った人間中心設計を大切にしています。

 

府中での市民活動―共創

約20年府中で会社をやってきたうちの最初の15年は府中との地域交流はありませんでした。府中市民の方の知り合いもほとんどいませんでした。そんな中、ITを活用してまちを豊かにしていくcode for fuchuの取り組みを始めることになり、それがきっかけとなって市民の方々との交流を持ち、今では府中は自分にとっての居場所となっています。府中テラス、フューチャーセンター、そして今回のまちゼミなど、府中における数々の市民活動と協働しながら、「creative cityとしての府中」を共に創っていきたいと考えています。街全体が創造性にあふれ、人と繋がっていくことで問題解決や自分のやりたいことが実現できる、そんな街にしていきたいですね。

 

 

コロナ禍での市民協働活動―お弁当プロジェクト

最近行なった府中における活動で大きな反響をいただいたものがあります。府中お弁当プロジェクトー「FUCHU BENTO MAP」です。コロナ禍で奮闘しているお店とお客さんとをつなぎたいという思いで、テイクアウト・お弁当販売を行なっている街の小規模飲食店の情報を載せられるアプリを作成したのです。テイクアウトに取り組むお店を集めて発信し、ご近所のお店の情報が探しやすく、また購入したお弁当の写真や情報をハッシュタグをつけてsnsで発信することで地域のお店を応援するという活動も併せて行いました。

 

さらに、ほかの地域で同じような仕組みをやりたいという人を支援する起点にもなれたらいいなと言う思いから、このアプリが簡単にコピーできるよう情報を公開しました。こうして府中以外のバージョンも自由に作れるようにしたところ、なんと北海道から九州まで、全国約90箇所の市区町村でこのアプリが広がったのです。その過程で、ネット上で自然発生的にアプリを広報したり作り方を教えあったりする人たちが連鎖反応的に登場したことには驚きでした。

 

お店の方からの反響も続々と届きました。「これまで誰も来てくれなかったのに、お弁当プロジェクトをやってから売上が倍に伸びた、びっくりだ」と言ってくれるお店の方もいらして、とても嬉しかったですね。

 

今回のまちゼミの講座内容―「紙からWEBへ」

人と人とをつなげる手段の一つとしてより多くの人にデジタルツールを使ってもらいたいと思い、今回のまちゼミの講座内容を考えました。

具体的には、イベントの参加申し込み、参加後の満足度アンケートなどをデジタルで収集できるようにgoogleフォームの作り方をお教えします。

なにか活動をしている方やお店をやっていらっしゃる方にもぜひ参加していただきたいです。オンラインフォームは抽選で何名さま〜といったキャンペーンや、お店利用後の感想募集にも利用できます。お店でのコミュニケーションに加えた、プラスワンのエンゲージメントの選択肢の一つとしてぜひ活用されてみてはいかがでしょうか。

 

 

「このご時世、利用者の声を聞く機会が減ってしまった」

「存在は知っているけれど、フォーム作成のはじめの一歩がなかなか踏み出せない」

そんな方にぴったりの内容です。ぜひ、一緒にはじめの一歩を踏み出しませんか。

【インタビュー・文】吉武かおる(東京外国語大学3年)

【写真】関谷昴

 


【店舗情報】

株式会社セカンドファクトリー

住所:府中町1-14-1 朝日生命府中ビル12階

ホームページ:http://www.2ndfactory.com/


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「tea studio y2」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
tea studio y2さんの講座15番「お家のティーバックを10倍おいしく飲もう!」は予定通りオンライン開催されます。
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


紅茶の香り溢れる癒しの隠れ家

大國魂神社からほど近く、ビルが並ぶエリアの2階に紅茶教室と紅茶通販を行う「Tea studio y2」はあります。紅茶教室は完全予約制で、現在対面とオンラインの両方で開催しています。中へ一歩踏み入れると、こだわりの紅茶がずらっと並んでおり、対面の教室を行う癒しの空間に。そんな「Tea studio y2」で代表を務める、紅茶マイスターの吉 緩詩子さんにお話を伺ってきました。

“ワイワイ”楽しむ紅茶教室

代表の吉さんが紅茶教室を始めたのは、28年前。
いわゆる「キャリアウーマン」として会社勤めをしていた吉さんにとって、「ディンブラ」というお茶との出会いが大きな転機でした。茶葉で淹れた紅茶に感じられた香りと渋みに感動し、それを伝えようと会社を辞めてセイロンティーの会社を設立。そこで、今まで知らなかった地域の紅茶事情を知り、「紅茶を知らない一般の人にも、美味しい紅茶を広めたい」と紅茶教室を始めました。

こうして始まった紅茶教室「Tea studio y2」には、吉さんのイニシャルY.Yの他に、「みんなでワイワイしていいよ」という思いが込められています。紅茶と言うと厳粛な場のイメージがありますが、ここは少し違います。紅茶教室について、こんな思いを明かして下さいました。

 

「おいしい紅茶を販売する、ブレンドするというのは会社の柱で、紅茶教室は生徒さんがいらした時にその時間はリラックスさせたい、緩めてあげたい。緊張を緩めてあげるリセットの場みたいに考えてます。みんな緊張して生きてるから。この瞬間、ここに来た瞬間だけでも、肩の力抜いたら?という気持ちです。だから、小学生が来ても、お年寄りが来ても、私が優しく包む役になろうと決めているの。それが、ここで紅茶教室をやる意味だと思っているんです。」

 

紅茶を知るだけでなく、紅茶を通じて癒しやリラックスできる場。そんな思いが教室の名前にも込められています。

こだわりのティーバッグと淹れ方で作る一杯

「Tea studio y2」では紅茶の販売も行っており、教室で使う特注のティーバッグには、こだわりが詰まっています。中でも紅茶を淹れる上で鍵となるのが、「➀お湯の量」、「➁茶葉の量」、「③蒸らし時間」の3つのポイント。このどれか1つでもずれると、紅茶の味がずれてしまう。そのため、マグカップ1杯分の紅茶を淹れるためのベストな「➁茶葉の量」と「③蒸らし時間」を、何回も実験を重ねて導き出してきました。

 

「香りがどのように来て、私がどう感じて、しぶみがどう残るかをみるには、人間の体(五感)を使うしかないよね。」

吉さんがこう話すティーバッグは、まさに五感で試してできた産物。紅茶教室に参加した方は、大変な実験をしなくても、吉さんのティーバッグを使って決まった時間蒸らせば、ベストな紅茶を淹れることができるようになっています。また、1回に淹れる紅茶の量をティーカップではなく、マグカップ1杯分にしたのにもこだわりが。

 

「ここに来るみなさんも仕事中や子育て中の方が多いから、ティーバッグで1回にたくさん淹れちゃおうって。それに合わせたティーバッグの量になってるの。」

 

てっきり素人の私は、「紅茶教室では、ティーカップでしか飲んではいけない」と想像していたため、とても驚きました。ティーバッグにも、吉さんの「手軽に、美味しい紅茶で、リラックスしてほしい」という思いが、ぎゅっと詰まっています。どこまでも、飲む人思いな紅茶です。

“紅茶で世界を笑顔に”

会社の今年からの目標は「おいしい紅茶で世界を笑顔にする」。そんな素敵な目標について詳しく伺うと、こんなことを教えて頂きました。

 

「紅茶をつかってほっこりさせたい。人って力が抜けた時ほほえむじゃない。もうそれを見るのが快感なの。ほっとする感じね。そういう笑顔を広めていったら、みんなが柔らかい人になる。みんなが笑顔になったら、戦争とかなくなるというのが、私の考え。」

オンラインまちゼミの魅力

今回のまちゼミは、初めてのオンライン開催です。吉さん曰く、オンライン開催は感染症対策以外にもメリットがあるのだそう。

 

「オンライン紅茶教室の良さは、移動の時間がないこと。赤ちゃんのいる人って、泣くから行けないという心配があるけど、オンラインだったら泣いた時はミュートにしたらいい。オンラインって結構いいなって思う。」

 

参加に当たって必要なものは、5つのみ。マグカップ、タイマー(または砂時計)、マグカップの蓋(小皿でも)、お湯そしてティーバッグ。普段の紅茶教室では、吉さんが厳選した紅茶で作ったティーバッグを使っていますが、今回のまちゼミは参加者の方のお好きなティーバッグでお手軽に参加できます。普段と同じティーバッグでも、淹れ方を変えれば、味や香りがぐっと良くなります。普段楽しんでいる紅茶を、少しアップデートさせたい方におすすめです。

 

まちゼミ参加を迷っている方へのメッセージ

ここまでお話を伺ってきて、最後にまちゼミへの参加を迷っている方へのメッセージを頂きました。

 

「まちゼミにはワクワクしたい人にぜひ来てほしい。パン屋さんとかお菓子屋さんに行って並んでいるのを見てどれにしようかなって思った時に、紅茶をよく知っていると、どの紅茶に合わせようかなってワクワクが増えるわけね。そういうワクワクするのが好きな人に。新しいワクワクを求めている人に。美味しい紅茶の淹れ方を学びたいという人もだけど、もっとまちゼミはハードルが低いものよね。」

 

今回「Tea studio y2」を取材させて頂いて、紅茶を広めることだけではなく、「紅茶で人を緩めてあげたい、癒してあげたい」という思いが伝わってきました。実際に今回私もティーバッグで紅茶の淹れ方をレクチャーして頂ました。思わぬところで普段の自分の淹れ方と違ったり、普段淹れるよりも香りを強く感じたり、新たな発見があったり。ここで全ては書ききれませんが、お茶の時間の楽しみが1つ増えました。

紅茶をよりおいしく飲みたいという方、忙しくて休めないけど家でくつろぎたいという方、楽しみを増やしたいという方。一歩踏み出すのは、どんな理由でも大丈夫です。

 

「Tea studio y2」で、ほっと一息いかがですか?

 

記事作成 田島玲(東京農工大学4年まちけん所属)
写真 宇田川あみ(東京外国語大学3年)

 

 


【店舗情報】

Tea studio y2(ティースタジオワイワイ)

住所:〒183-0022 東京都府中市宮西町2-14-5 萬作ビル202

TEL:042-335-7977

ホームページ:https://tea-studio-y2.co.jp/

メルマガ:https://www.agentmail.jp/form/ht/24103/2/

定休日:土曜日・日曜日(※要相談)

営業時間:平日11:00ー17:00(予約制)


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「KikiZakeダイニング志喜」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
KikiZake Dining志喜さんの講座は中止となりました。
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


誰もが落ち着いて飲めるダイニング

府中駅の北口から桜並木を歩くこと徒歩5分。
駅の喧騒から離れたところに、KikiZakeダイニング志喜はあります。店主の信濃さん選りすぐりの日本酒や焼酎と、絶品の肴を楽しむことができるとあり、府中市外からもお客さんが足を運ぶお店です。
4つのテーブル席がある店内では、その場に居合わせた「初めまして」の人たちの間で会話が弾むこともしばしば。
そんなビジネスマンから地元の大学生まで、幅広い人たちに愛される秘密を探るべく、日本酒初心者の大学生が実際に行って、お話を伺ってきました。

KikiZakeダイニング志喜のルーツは、憧れの釜飯屋?

「Kikizakeダイニング志喜」が開店したのは15年前のこと。店主の信濃さん曰く、お店の名前はお客さんに対してどうあろうかを示す大事なものと考え、「酒や釜飯の“四季”」と「お客さんに喜んで頂くことを志す”志喜“」を掛けて、この名前にしました。

 

そんなお店のルーツは居酒屋ではなく、なんと釜飯屋にありました。スーパーや雑貨店で働いた経験から食品に興味を持ち、地元府中で飲食店を始めるべく何をするか迷っていた際に思いついたのが、釜飯屋でした。というのも、小学生の頃から誕生日は必ず連れて行ってもらう憧れの釜飯屋があったからだそう。

そのため、最初は「本格釜めし志喜」として開店し、当時日本酒はメインではありませんでした。しかし、お客さんの「日本酒好きなら出せばいいのに」との一声から、少しずつ日本酒を増やすようになっていきました。残念ながら現在釜飯の提供は休止していますが、信濃さんの好きな「釜飯」と「日本酒」がお店の原点となっています。

店主の信濃さん流“おすすめの日本酒”

最初は3本ほどしかなかった日本酒ですが、今では常時30~40本ほど、春夏秋冬、季節に合わせた日本酒を取り揃えています。そんな幅広い日本酒を提供する上で、大切にしているこだわりを聞いたところ、予想外の答えが返ってきました。

 

「店長おすすめってあまり意味がない。お客さん何飲みたいですか。に対して、5つくらい好みに合った日本酒を提案して、5個の中から3つ選んでください。その中で60ミリずつ飲んで下さいってことが用は利き酒なんですよ。」

KikiZakeダイニング志喜に訪れるお客さんの多くは、メニューを見るのではなく、信濃さんと相談して、頼むお酒を決めていきます。ここでは、「店長のおすすめをお客さんに飲んでもらう」のではなく、「お客さんの好みを聞いて日本酒をおすすめする」ことを大事にしています。そのため、店内に揃えている日本酒は、単なる「店主の好きな日本酒」ではなく、「あなたの好きな日本酒を見つけるための選抜チーム」。信濃さんにとっての“おすすめの日本酒”とは、お客さんとの会話の中で見つけていくものなんだそう。だから安心して、初めての日本酒にも挑戦できるのかもしれません。

人と日本酒を繋げる“ナビゲーター”

もう1つ信濃さんには、日本酒を提供するプロとして、お客さんに出すお酒を選ぶ上で心掛けていることを教えて下さいました。

 

「お客さんの中には、私はこういった日本酒が好きだと思ってたけれど、こっちの方が好きだったとかあるんですよ。体験してみないと分からないじゃないですか。だからわざと、少し好みから外れたものも一緒に出すんですよ。お客さんと探り合いの中で、今まで知らなかった好みを見つけるというのが、『ハマる日本酒』です。」

確かに、一度好きな銘柄に出会ってしまえば、自分でもその銘柄だけを買って飲み続けることもできます。ですが、せっかくこのお店に来るのであれば、知らない日本酒にも出会ってほしい。そんな心意気を感じました。お客さんにとって、信濃さんは「日本酒の先生」ではなく、お客さんと一緒に欲しいものを探してくれる“ナビゲーター”のような存在です。

日本酒ビギナーを対象にまちゼミを実施する理由

昨年までの2回のまちゼミとは異なり、今回は日本酒ビギナーを対象にした講座となっています。今回のまちゼミは、どんな講座になるのかについて伺いました。

 

「まちゼミを開催して何が自分にできるかって時に、何が好きか分からない人にスタートで間違わせないことが大事かなと。ビギナーさんのストライクゾーンを広げていくというか。結局、学びと体験とそれをどう後押ししていくかですよね。単に日本酒を飲み物や酔うものとしてとらえるのではなくて、嗜好品、趣味、楽しみ、好きなものにしたい。今回のまちゼミは、日本酒の位置をワンランク上げていく講座になると思います。」

まちゼミに参加しようか迷っている方へのメッセージ

「日本酒って難しいものじゃないですよ。もっと、もっと、みなさんを美味しい日本酒に出合わせます。」

今回のインタビューの際、実際に私も利き酒を体験させて頂きましたが、「こんな日本酒もあるんだ!」、「同じ日本酒でも全然違うんだ!」という驚きと発見がありました。正直あまり日本酒は得意な方ではなかったのですが、「美味しいかも!」と思える日本酒を教えて頂きました。

日本酒に興味はあるけど一歩踏み出せないでいる方、日本酒が好きだけど新しいものに挑戦できないという方、ぜひ足を運んでみて下さい!

【インタビュー・文】田島玲(東京農工大学4年)
【写真】関谷昴


【店舗情報】

KikiZakeダイニング志喜

住所:〒183-0055 東京都府中市府中町1-27-8

TEL:042-365-8900

FBページ:https://www.facebook.com/KZdining

定休日:月曜日

営業時間:17:30~23:00(日曜のみ22:00まで)


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「カフェ オレンジブーツ」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
オレンジブーツさんの講座は、26番「己書で楽しく想いのままに文字を描いてみませんか?」がオンラインに以降して開講されます
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


 

府中駅から徒歩3分ほどのところにある、駅ビル「ルシーニュ」の府中市市民活動センタープラッツのある5階に登ると今回取材をした「オレンジブーツ」のお店が見えてきます。明るく落ち着いた雰囲気のなか、府中市の食材はもちろんのこと、府中市の姉妹都市である長野県の佐久穂町、オーストリアのウィーンから届けられる食材も楽しめるお店になっています。また、普段から多くのワークショップやセミナーを開催していて、様々な世代の方や多くの方の交流の場所にもなっています。

今回は、そんなカフェで働く店員の小林さんと、「第3回むさし府中まちゼミ」で普段の書道とは少し変わった「己書」の講師を務める津布久さんのお二人にお話しを伺いました。

左:津布久さん 右:小林さん

ミツバチの花粉が付いた足

「オレンジブーツ」というのは、「ミツバチの花粉が付いた足。」のこと。ミツバチが色々な花に飛んで行って、ミツや花粉を集めてくるように、府中市をはじめに府中市と関連のある姉妹都市から良い食材を集めてお客様に提供していきたい、といった想いが込められています。今は府中産のものだと卵、食材として一番多いのが姉妹都市の一つの長野県の佐久穂町からのものです。

お店に野菜を定期便で、旬のものを送ってもらっていて、野菜が沢山食べられることもこのお店の特徴です。メニューには人気なものとしてサーモンとアボカドのサンドイッチ、オムレツとハムのサンドイッチなどがありそのなかのハムとサーモンは佐久穂町からの食材を使っています。

他にも、佐久穂町のお味噌はおにぎりやドレッシング、甘酒ではスムージーとして提供しています。また、お店で出しているリンゴジュースのシードルは「美味しい!」と買って帰る方も多くいます。

ひだまりのような場所にしたい

私自身としては今年の4月に入社して、新型コロナウイルスの影響もあって5月からこのオレンジブーツで働いています。
お店のこだわりとしては、料理を提供するカフェだけでなく、人が集まるような場所にもしていきたい、という想いも持っています。
府中市の市民活動センターのなかにある飲食店ということで中市民のコミュニティの場にしていきたいという想いから、カフェ内で様々なワークショップやセミナーも開催しています。
これまで開催されてきたワークショップで作ったツリーや、今回のまちゼミで講座をする津布久さんの書いた己書のポストカードもお店のなかに飾ってあります。

 

小林さんにお話しを伺う中で、通りがかったオレンジブーツを運営するサニーワークス株式会社の社長である横須賀さんからは「ワークショップで提供する情報と、カフェで出す食事や飲み物をハブにしていろいろな人が集まってくれるといいですね。」ともお話してくださりました。

府中市の中で、府中市と関わりのある場所から集めた食材を使ったメニュー、また様々な人が集まるあたたかい場所、陽だまりのようなお店にしていきたい、といった想いを聞くことができました。

自分だけのおのれの書

己書はそのままの字のごとく、「自分だけの書」といった意味が込められています。講座では、お題として同じものを書いてもらいますが、そのなかでも人それぞれの癖や性格から書きあがった時には、みなさんちょっとずつ違います。それは、間違いとかではなく「個性」。今の自分がありのままの姿で書いたものとして、世界に一つの自分だけの「おのれの書」が己書です。

今回のまちゼミで行う講座では、初めて参加される方も描きやすいように、簡単な一文字などで何個か書いてもらいます。そして最後には書きあがったものをみなさんで見合って、それぞれの違いを楽しんでもらおうと思っています。

己書の出会いと、二人の出会い

子育てがひと段落ついて自分の趣味を探したいと思った時に、もともと和なものが好きだったこともあり、やるならば書道がやりたいと思っていました。それでも、がちがちの書道教室のイメージではなく、手軽に楽しめるものを探していた中で、たまたま己書のチラシを見つけたのがきっかけです。

そこからは、どんどんはまってしまい、自分もこの楽しさを伝えたいと思い師範の資格を取りました。やってみるとすごく楽しいということを実体験として持っているので、みなさんにもきっと楽しんでもらえると思っています。

そして、どこで初めて講座を開こうか考えた時に、知っている人がいないような場所でチャレンジしたいと思って探していました。そんな時に、府中駅で降りてオレンジブーツに来た時に「おっ」と思って、突撃で小林さんに声をかけさせてもらいました。「ぜひ講座をやりたい。」と話すと、快くいいですよ、と受け入れてもらえたのが、オレンジブーツで講座を開くきっかけになっています。今回のまちゼミでは己書のこと、このお店で講座を開けることも知ってもらいたいと思っています。

―小林さん 今のコロナの状況のなかでも、津布久さんご自身から「やりたいです」って来てくれたのは嬉しかったですね。お店の中でそういった講座を開いて、参加しているみなさんが集中している姿は、見ていても楽しいです。お店に来て心も体も元気になってもらいたいですね。

筆ペン2本とちょっとのコツ

「一見、難しそうに思えるけど、実際に書いてみると意外と書けた!」とちょっとしたコツと筆ペン2本があれば、いい感じに描けたように見えること、子どもからお年寄りの方まで、みなさん気軽に楽しんでもらえることが魅力です。

また、集中する時間は大人になるほどなくなってしまいますが、普段の講座では90分、まちゼミの講座の1時間は、ふっと自分だけの世界に入れる時間を作ることができる事も魅力です。その間だけでも一つのことに集中してもらうことで、ちょっとしたリフレッシュする時間にもなるのではないでしょうか。

普段言葉では言えない事でも、あげる方のことを思い浮かべながら、思いを込めた字を描いた一枚をプレゼントしたり、ちょっとしたコツを持ち帰ってもらうことで講座のその先の生活でも使っていただけると思います。

己書で楽しく想いのままに文字を描いてみませんか?

まずは、こういった姉妹都市の食材を使ったメニューがあったり、ワークショップを開いたりできるお店が府中にあることを知ってもらうきっかけにしてもらいたいです。そして、己書を通しては、誰でも気軽にできる新感覚な書道を楽しみながら、ただ教える、教わるだけじゃなくて、参加してくれるみなさんとお話をして、楽しい時間にしたいと思っています。

己書を通してみなさんと新しい人とのつながりを作ってみませんか。

 

小林さん、津布久さん ありがとうございました!

今回のお二人への取材を通して、オレンジブーツの様々な人を受け入れてくれるような温かい雰囲気、また己書の想いを言葉にデザインする魅力を感じることが出来ました。府中市の中でも珍しい、府中市の食材だけでなく、姉妹都市の食材も楽しめる「オレンジブーツ」にぜひ足を運んでみてください。また、普段の書道とは少し違った「己書」に挑戦してみてはどうでしょうか。

【インタビュー・文】原田 成美(東京農工大学4年)
【写真】関谷昴

 


【店舗情報】

カフェ オレンジブーツ

住所:東京都府中市宮町1-100ル・シーニュ5F 府中市市民活動センター「プラッツ」内
TEL:042-319-9732
定休日:なし


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「BASE.S CAFE & DINER FUCHU TERRACE」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
府中テラスさんの講座は中止となりました
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


 

府中のまちの「つながりのかたち」

 

府中駅から徒歩3分ほど、目の前にある大國魂神社の荘厳な雰囲気とコントラストをなすように、とても柔らかな雰囲気のあるカフェが佇んでいます。こちらが今回紹介させていただく、「府中テラス」さん。

 

お店の外壁は全てガラス窓になっていて、外からでも中の様子や混雑状況もよくわかるので、今のようなご時世でも安心して入ることができます。テラス席もあるので、ソーシャルディスタンスもばっちりとることができるのがうれしいですね。

中に入ると、笑顔の店員さんと雰囲気のいいBGMがお迎えしてくれます。中にいるほかのお客さんはみな幸せそうな笑顔を浮かべていて、とてもゆったりした時間が流れています。

 

今回の取材では、食材にこだわっているこのお店の食品事業に関わっている、中野寿仁さんにお話を伺いました。

 

府中のまちの「つながりのかたち」のレモネード~一つのお店だけではつくれないもの

今回のまちゼミでは、食材にこだわること、府中に関わるものを加える、といった「うちのお店っぽいこと」をしたいと考えました。

そこで、お店で実際に出している、レモネードのシロップ作りをすることに決めました。このレモネードは単体で飲むだけではなく、家にある素材を使って手軽にアレンジレシピを楽しむことができます。これを機に、今よりもっと充実したおうち時間を過ごしていただけたらと思っています。

水やお湯でアレンジするのもいいのですが、うちのお店では、このレモネードをアイスティーで割ったものをお出ししています。実はこのとき使われている紅茶は、府中の紅茶の専門店の「サンタマリア」さんから提供していただいています。先日からはサンタマリアさん独自ブレンドの紅茶の茶葉販売を店頭でも始めました。このような形で府中の街の情報発信もしているので、それも知っていっていただけたらと思っています。なぜ「こだわりの食材」を選ぶのか___社会問題と会社の歩み

私たちは元々ITを主軸にしていた企業で、店向けのPOSレジなどを扱っていました。その事業の中で、よりお店の気持ちを知り、導入してもらいやすいようにと考えて、自分たちで飲食店を開くことに。海の家や唐揚げ店などを開店してきました。

お店の経営をしていく中で農家の方と実際にお会いする機会があり、農家の方がある問題を抱えていることを知りました。

それは、野菜を作っていくうえで、規定を満たさないため市場に出せない作物があったり、とれる数量が多いと廃棄になったりしてしまっている、「食品ロス」についてです。これは農家だけに限った話ではなく、精肉などの他のジャンルの生産者の方も抱える問題でした。例えば、部位によって市場価値が異なり、1頭から取れる部位ごとに出荷量の偏りが出てしまうことで行き場のない部位がでてしまう、といった現状があることです。

このようなことは、非常にもったいないことだと思いますよね。しかし、そういった商品をどのようなルートで売ったらいいのかわからない。実際問題、農家の方は普段の業務で手一杯で、新しい流通ルートを開拓するような余裕がありませんでした。

そこで、もっと農家の方の作ったものを多くの人食べてほしいと思い、うちの会社で取引を始めました

この事業をしてよかったことは、どのような人がこの食材を作ったのか、どのような人がこの食材を使っているのか、両方の「顔が見える」ようになったことです。うちはお店側、生産側どちらの気持ちもわかるので、どちらも納得した食材の取引ができます。

食材を使う側からすれば、どんな人が、どんな思いでこの食材を作ったのかという物語がわかることで、新たな料理のインスピレーションにつながることがあります。

逆に食材を作る側からすれば、自分の作ったものが、どんな料理に変身したのかを知ることで、食材を作るモチベーションにつながることがあります。

こうした事業で学んだことを活かし、府中テラスでも生産者の方のお顔が見える食材にこだわっています。

飲食事業は府中だけでなく他県でも展開しているので、お店では多くの場所で作られた食材を使っています。もちろん、府中で作られた食材も使うのですが、府中の人が他の地域の食材を知る場としても、この店を利用していただければいいなと思っています。

 

さらに、今後の食品ロス削減の取り組みとしては、「Jimono」さんという、地元で育った野菜を農家さんから直接仕入れている会社と協力し、「Jimono」さんで扱っている野菜をこの府中テラスで店頭販売していく予定です。

府中テラスでは日替わりランチをやっているので、もし、「これは明日になったらお客さんに買ってもらえないだろうな」という野菜が出てきてしまったときは、その中のメニューに入れることで、無駄になる野菜を少しでも減らすことができると考えています。

「府中」に根付くお店___「つながり」が希薄になった時代だけれど

お店で出すものとしては、産地にこだわったもの、ということを重視しているのですが、府中テラスの方針としては、特に「人とのつながり」を大事にしています。先ほどお話したような、生産者の方とのつながりはもちろんなのですが、府中の人とのつながりというのも大切にしているものの一つです。

今回のまちゼミのレモネードもそうなのですが、うちは府中の他のお店に協力してもらって出しているものがいくつかあります。

お店で出しているケーキも、実は府中の老舗洋菓子屋さんの、「モナムール清風堂」さんに、うちのお店のために作ってもらっているものなんです。

以前、うちのお店でケーキを作って出してみよう、という案が出たのですが、クリームなどは特に繊細なものなので、作るのが困難でした。そこで、うちで作るのが無理なのであれば、専門の方に頼むのが一番だろうということになったんです。

 

また、お店で使っている府中で作られた野菜は、府中の青果店の、「Jimono」さんのところで仕入れています。府中で作られた野菜を使いたい、と思っても、府中の農家の方たちと直接つながるのは大変なことなので、もう既に府中の農家さんと信頼関係を築いている「Jimono」さんから買うことで、府中の農家さんとつながることができています。

一つのお店で全てのことをやっていこうとすると、中途半端なものになってしまうんですよね。全てのものについて極めるということは難しいので、あくまでもお互いにメリットが生まれるような形で、他のお店に協力してもらうことで、お客さんに安らぎを与えることのできる空間を提供することができていければと考えています。

まちゼミに向けて

おうちでも簡単に作って飲んで楽しめるという講座を考えているので、こういった状況ですがおうち時間を楽しめるようなものをまちゼミを通してふやせたらいいです。特にお子さまと一緒に楽しんで作れることができるのでぜひお越しください。

 

今回の取材で、「人とのつながり」を大事にしながら、「食品ロス」という大きな問題に立ち向かう府中テラスさんの道程をお聞きすることができました。その問題に気づき、取り組み始めることも、きっとIT企業という別の顔を持つこの会社だからできたことなのだと感じました。そんな他のカフェとは一味違った「府中テラス」さんに、皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか?

【インタビュー・文】井上真歩(山梨県立大学看護学部1年)
【写真】関谷昴


【店舗情報】

BASE.S CAFE & DINER FUCHU TERRACE

住所:府中市宮西町2-2-12
TEL:042-407-2675
定休日:なし


【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「ロシアレストランペーチカ」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
ペーチカさんの講座は、中止となりました
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


 

府中駅東口から徒歩4分ほど、Y字路に建つマンションの2階に、ロシアレストランペーチカは佇んでいます。店内に入ると、特徴的な白木の家具の温かな空間が私を出迎えてくれました。通常レストランに入るときには少し緊張してしまうのですが、ペーチカさんには、逆に体の緊張がほっとほぐれるような、そんな温かさがあります。

店内には、絵や雑貨があふれており、入ってすぐの場所にはピアノもおいてありました。まるで家のような温かな空間にはどんな秘密があるのか、オーナーにお話を伺ってきました。

 

「暖炉のような温かさを」

 

ペーチカとはロシア語で「暖炉」という意味です。暖炉といってもロシアの暖炉は独特で、暖炉の上で寝たりもします。パンを焼くようなかまどがあって、その上の少し暖かい場所に布団をしいて寝ることもできます。寒いロシアでは、暖炉は身近で、様々な温かさの象徴です。そのような「様々な温かさ」を提供できるお店にしたいという思いを込めて店名をつけました。

レストランを開業したきっかけは、私自身が延べ22年、5回にわたるロシア駐在で経験したロシアの人たちとの深いつきあいから、食を通したロシアへの正しい理解を広めたいという強い思いでした。

食は、人の心を開き、あらゆる物事に対して人をオープンにしてくれるものです。お客様に食で心を開いていただき、ロシアそのものについての理解を深めていただく場になればと願っています。ロシアは遠い異国の地ではなく、私たちと気心の通じる人たちが沢山いる隣国だ、そういう風にみなさまに感じていただける場所にできれば幸いです。

 

芸術の交流の場として

ここにおいてある雑貨は私(オーナー)の私物です。ロシア人の友達から送別の品としてもらったものや、自分で買って集めたものです。ロシアの伝統工芸品や美しい絵など、食事と一緒に楽しんでいただきたいと思います。

 

また、食だけではなく、様々な芸術の交流の場にしてほしい。そんな想いで、絵も飾っています。いまは、縁のあるイラストレーターの絵本の原画を展示しています。ロシア料理を食べに来た人がイラストを見てくれたり、イラストレーターのファンの方がロシア料理を知ってくれたり…という相乗効果があるといいなと思っています。作家さんの雑貨も販売しているので、ペーチカでこのイラストレーターさんのファンになった方が購入してくださると素敵だなと。この取り組みは初めてなので、ある程度の期間展示させていただいたら、他の方の絵も展示させていただきたいですね。

 

またペーチカは、音楽の憩いの場としての役割も持っています。ピアニストの方がライブをしてくださることが決まっていますし、私自身、月に1回、金曜日の夕刻にギターの師匠と共にミニコンサートを開催しています。

音楽もまた、ロシアを知る上で重要なものです。日本でも有名な「100万本のバラ」や「つる」を歌うと、そのロシア音楽特有の哀愁を直に伝えることができます。それも、「正しくロシアを理解する」「ロシアを身近に感じること」の一歩だと考えています。

ロシアを身近に感じるこだわり

ロシアの木材の輸入の経験から、ロシアの木の温かみを皆様に味わっていただきたいと考え、イルクーツクから輸入している赤松を新潟から特別に送ってもらい、店のインテリアとして使いました。赤松は白い色と独特の香りで、日本でも人気のある木材です。日本でこんなに赤松を店舗に使っているところはないと思いますよ。ペーチカの「温かさ」の秘密の1つですね。

「ホンモノ」にこだわっている、というのもペーチカの特徴です。

日本ではピロシキは揚げパンだと思われていたり、ボルシチはトマトスープみたいなものだという認識があったりするようですが、本場の味はどういったものなのかを常に提示できるレストランでありたいと考えています。ペーチカのボルシチやピロシキは自分がロシアで味わってきた味だけでなく、ロシア人の意見も聞き、書籍でも確認しながら常に「ホンモノ」のおいしさをアップデートしています。ボルシチの上にのせるスメタナ(サワークリーム)も店で作り、本場の味に近づけています。

ロシア人のお客様に率直に感想を求めることもあります。「このボルシチはどうですか?ロシアっぽいですか?」と。そうすると「お世辞ではなく、ロシアで食べたものよりおいしい」と言ってくださることもあり、その瞬間はとても幸せな気持ちになれます。

お客様に向けたメッセージ

ペーチカはロシア料理のレストランですが、音楽を聴く憩いの場、絵画を楽しむ場、朗読会…など、お客様にいろいろな形で使っていただきたいと考えています。「こういう形で使いたい!」「ライブがしたい!」「ロシア料理を食べながら人と交流を深めたい!」など、ご要望があれば、できる限りお応えしたいと思っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

ロシアと日本をつなぐまちゼミ

ペーチカが提供するまちゼミは、日ロ関係の歴史について、ロシアンティーを味わいながら学んでいただくというメニューになっています。ロシアは日本の隣国なのですが、日本人にとってロシアは、韓国や台湾といった国よりも距離があるように感じられます。現地で長年にわたり暮らしてきた私から見ると、極東のロシア人達は特に、隣国の中で日本を最も好ましく、憧れさえ持ってくれています。この点は、現地で彼らと交流してみないとなかなか理解できないことです。私は、このロシア人の思いを皆様に伝えることが自分の役目であると考えています。ここペーチカで、ロシアに対する正しい理解を深めていただきたいと思っています。

 

去年もおかげさまでたくさんの方に来店していただきました。このご時世でなければ今年ももっとおよびしたいのですが、それができないのが悔しいです。

でも、こんな時だからこそ、おいしい料理は人の心を豊かにしてくれると、私たちは信じています。

【インタビュー・文】尾崎成美(東京外国語大学4年)
【写真】西田衣里(東京外国語大学院1年)

 


【店舗情報】

ロシアレストランペーチカ

住所:府中市府中町2-6-1 プラウドセントラル2F
TEL:042-368-8830
定休日:土日祝日