2023年 12月

府中に息づくお店探訪「啓文堂書店府中本店」in ぷらりと京王府中

啓文堂書店府中本店~人生を変える1冊に出会える場所~

京王バスに揺られて終点の府中駅まで向かう。下車するとすぐに、ガラス張りの壁に覆われた大規模な本屋が目の前に現れる。今回取材する啓文堂書店府中本店は、1975年創業の歴史ある書店だ。一号店を府中の街に構えて以降、現在は東京都内に22店舗を展開している。今回は本店の店長と、企画担当の書店員に話を伺った。

本店ならではの取り組みとその魅力

本店では、月替わりのイベントを企画し、来店客を飽きさせない試みがなされている。例えば5月には、府中をはじめとする武蔵国の守り神が祀られている、大國魂神社の「くらやみ祭」に因んで、祭りのガイドブックや多摩地域の地形にまつわる本などを特集し、府中の人々に地元の伝統や歴史を一層楽しんでもらえるようなコーナーを作った。

(左:「くらやみ祭ってナンだ?」かぶらぎみなこ / 右:「FUCHU illustration GUIDE BOOK 府中まちあるきイラストガイド」かぶらぎみなこ)

今月の目玉は「啓文堂古書市」である。様々な古書店によって厳選された古本に加え、アイドルのCDや黒電話、キューピー人形などの雑貨が並び、まるで懐かしのあの頃に戻ったような感慨を持つ。新しいモノだけではなく、歴史が積み重なった古本や雑貨があることで、思いがけず時間の流れに想いを馳せる体験となった。さながら神保町の古本市のようなラインナップを、府中でも気軽に楽しむことができるのは、非常に魅力的だ。

アンリアルでは味わえない発見と感動を

店長は、こうしたイベントを行うことで、来店客を楽しませ、何度でも来たいと思ってもらえるような空間を創ることを心掛けていると語る。昨今はオンラインショッピングが勢力を強め、店舗で書籍を購入する機会は段々と失われつつある。ただ、オンラインで書籍を購入する場合、目当てのものが決まっていることが多く、偶然の出会いは少ない。それに引き換え、たくさんの本が選り取り見取りの書店では、購入するつもりのなかった書籍をふと見つけ、思わず手に取るような発見があるかもしれない。アンリアルでは感じられない、リアルな喜びを体感できる場としての書店の存在意義は大きい。

文脈の本棚」に詰まった世界

店内を一通り巡った後、とある書棚の前で足を止めた。「文脈の本棚」と呼ばれるこの書棚では、「music」や「文化人類学」、「食のせかい」など、多様なテーマが取り上げられていて、小説や絵本などがジャンルを問わず集結している。整然と分類された他の書棚に反して、急に出現するダイバーシティに違和感を覚えつつも、じっくり見るとどの本もついつい手に取りたくなってしまう。この書棚こそ、書店ならではの発見と高揚感を味わうことができる空間だ。この企画の担当者曰く、他の従業員と協力して1つの書棚をレイアウトすることで、自分が知らなかった作品にも目を向けることができ、知見が広がるそうだ。来店客だけではなく、店舗で働く方々にとっても心惹かれる一角になっていることが窺えた。

1冊の本が人生を動かす

前述の担当者に、何気なくおすすめの1冊を尋ねたところ、北方健三の「水滸伝」を挙げていただいた。かつて人間関係に苦労した時期があり、小説の中で描かれる登場人物の生き様、上下関係の在り方に大きく感銘を受けたのだという。彼にとってはまさに人生のバイブルのような存在なのだろう。

本には人を変えるエネルギーがあり、小説に限らず、旅行本や写真集でも、誰にとっても人生を変える1冊があると言う。書籍以外にも、音楽・アニメ・舞台芸術など、人々の心を動かすコンテンツは数多くあるが、自身が持つ感性を大切にして、何かしらその琴線に触れるものを見つけ出してほしい。こうした信念に基づき、来店客の人生に影響を与えられる1冊を届けたいという願いを込めて、店に並べるものをピックアップしているそうだ。

残念ながら私はまだ、自分の人生を動かすような1冊との邂逅は果たしていない。しかしながら、素敵な信念を持つ従業員の方々に選ばれた本が揃うこの書店に足を運び続ければ、いつかその1冊に巡り会うことができるのではないかと思った。この記事をお読みいただいた皆様にも、運命の1冊を探しに、ぜひ啓文堂書店府中本店を訪れていただきたい。

(文:山口 紗和 東京外国語大学学生)

(写真:荒井 英美 東京外国語大学学生)


府中に息づくお店探訪「Space KURURU by Breath」in くるる

どんな人にもほっと一息つける瞬間を

府中駅から直通で行ける商業施設「くるる」4階の角へと向かうと、明るく穏やかな光が溢れる空間へとたどり着きます。

 この度取材をさせていただいたのはこちらでコワーキング・レンタルスペースを提供されている「Space KURURU by Breath」さん。作業用のテーブルや半個室空間など、通常のコワーキングスペースと変わらない部分も見られますがそれだけではなく、とある意外な要素も備えているのが特徴です。今回は、創設者の本多様へインタビューをさせていただきました。起業のきっかけとなる原体験や、地元への熱い思いなど、社長による貴重なお話を交えて早速ご紹介していきます。

他とは一味違ったコワーキングスペース「Space KURURU by Breath」が掲げるテーマとは

 コンセプトとしてはコワーキングスペースが近く、お仕事や勉強をされる方々にも利用していただきますし、休憩場所としても使っていただいています。他にも、アート作品の個展を開催したり、個人の方が教室を開いたりできるイベントスペースとしても活用されています。また、半個室を提供する施設の中で府中駅から一番近い場所でもあるので、オンラインミーティングをされる方にも重宝されています。

しかし、他の施設との一番の違いは、「子どもを連れてきても大丈夫な場所」だということです。どの学年の子どもたちも一斉に見ておける学童としての役割も果たしていて、お子様連れの方がこの場所に来てお仕事をされることも多くなっています。

 この空間は見ていただいてもわかるように、年代も目的も空間も、何事も「区切らないこと」を大事にして作られています。できるかぎりオープンな環境を提供するのがこだわりで、必ずしも働く人のためだけの空間ではありません。そのため私は、コワーキングスペースではなく「多世代多目的スペース」と呼んでいます。昔でいう駄菓子屋や喫茶店のように、赤ちゃんからお年寄りまで利用していただけるリラックス空間を意識して運営しています。

「子どもたちと一緒に利用できる作業空間」設立のきっかけ

 起業をしたきっかけは、私自身が赤ちゃんを連れて仕事をしたいと思った時に、そのための場所がなくて困った経験をしたことです。

私は当時から行政書士として働いており、個人事業主でしたので産休も育休もなく、夫は会社勤めでいつも家にはいない状況でした。保育園もいっぱいで預けることもできず、毎日子どもを見ながら自分の仕事をしていくのがすごく大変だったんです。

『1時間だけでも自分一人の時間があれば終わるのに…』と思った時に、ふと『なんでこうなの?』と思ったんです。

それは社会に対しての怒りでもありました。その時、自分の作業をほんの少しやりたくてもできない人たちのために、「ちょっと子ども見てて!」ができる社会を作っていこうと思い立ちました。

エネルギー溢れる行動力の原点と、現在へとつながる思い

 昔から、私は何かを変えたいという思いが人よりも強いのだと思います。学生時代は100人以上所属する合唱部で活動していました。そこで実感したのは、大きな組織であるほど不満はたくさん生まれるけれど、ただ文句を言っているだけでは解決されないということです。その結果、『だったら行動すればいいのでは?』と思うようになり、今に至ります。

口だけになりたくないんですよ。実際、“何かを変えたい“という思いから、近年では武蔵野市議会の議員も務めさせていただいています。自分のお店と議員としての活動を通じて、官民両方における社会課題解決のインプット・アウトプットを同時に行えており、どちらのエッセンスも得られるため、活動に相乗効果が生み出されていると感じています。現在は子育て支援・キャリア支援を通じた地域活性化のために活動中です。

経営者と政治家「二足のわらじ」を履いて得たキャリア観とは

 私は子どもが3人いるのですが、子育て真っ最中という議員はなかなかいません。マイノリティだからこそ、自分が活動する姿を周りに見せることで、子育てしながらでも議員活動はやれるんだよ、ということを示していければと思っています。

また、政治家は職業の選択肢の一つとして考えられることが少ない仕事であると感じています。しかし、自身のキャリアが断絶するというよりむしろ、人々の生活に直結する活動ができ、自らの主張を実践に移せる素敵な仕事です。若者たちには一度政治家というキャリアを挟んでみては?と伝えたいです。

「Space KURURU by Breath」と社長が目指していく今後のビジョン

 今後3年間はとにかく、「Space KURURU by Breath」が持つ「多世代多目的スペース」のスタイルを広めていきたいと考えています。というのも、創立してからのこの5年間で、幸いにも多くの方々がこの施設のノウハウを学びにきてくださっていたので、ビジネスモデルの認知度は全国的に高くなっていると感じていたのですが、展示会に出展してみたところまだまだ知られていないということが分かったからです。以来、まずは多くの人に「Space KURURU by Breath」を知ってもらい、将来的に同じような活動が各地で根付いていけばいいなと考えています。

また、自分としては、目の前の課題に取り組み続け、地域のために生きていければと思っています。都度仕事のやり方やポジションは変えていくと思いますが、心のコアにある部分は変わらず、自分の目に見える範囲の課題を着実に解決していくことを目指していきます。


筆者コメント

今回のインタビューを通じて、課題を発見し、実践的に解決していく本多さんの行動力に大きなパワーをいただきました。通常なら見過ごしてしまう社会の不の側面を発見したり、実際に動き始められていないところに目をつけ、自身の思いに実直に動き続ける姿がとても印象的でした。

改めて、お忙しい中インタビューにお答えくださりありがとうございました。これを読んでくださった皆様も、このように熱い思いから生まれた「多世代多目的スペース」へぜひ足をお運びください。日頃の悩みから解放され、ほっと一息つける空間がそこにあるはずです。

 

(文:宇田川あみ 東京外国語大学学生)

(写真:山口 紗和 東京外国語大学学生)


府中に息づくお店探訪「カフェ オレンジブーツ」in ル・シーニュ

地域の魅力と心地よさを届ける カフェ オレンジブーツ

 駅の改札からすぐのビル、ル・シーニュを5階まで上がると見えてくる「カフェオレンジブーツ」。上階ならではの景色と間隔が広く取られたテーブルがとても開放的で、平日にも関わらず、ひとりで作業する人から仲間と談笑する人まで多くの人で賑わっています。今回はそんなカフェの店内で、店長の小林さんにお話を伺いました。

ミツバチのように、地域の魅力を届けるお店

 カフェオレンジブーツという名前の由来にもなっている、「オレンジブーツ」というのは、ミツバチの花粉の付いた足を表しています。ミツバチが花粉を足に付けて他の花に運び、実を付ける手助けをしているように、府中市や姉妹都市の佐久穂町、友好都市のウィーン市ヘルナレス区など、様々な地域のいいところや食材を集めてお客さまに提供するという意味を込めて付けられています。

 ただ地域の食材を使用するというだけでなく、野菜やハム、日本酒など幅の広い食材を色々なメニューで使用することで、食べていただいた方に地域のことをより知ってもらえるように工夫しています。

野菜を通してお客さんと地域をつなげる

 オレンジブーツでは、野菜を多く盛り込んだメニューを意識しており、一部の野菜は提携している北八ヶ岳の農家さんから送っていただいたものを使っています。メニューに基づいて野菜をお願いしたり、お客さんの反応からリクエストすることもありますが、基本的には農家さんからおまかせで野菜を送っていただいています。

 サラダの中にある紫色の水菜など、カラフルな見栄えの野菜もあったり、以前は「ほおずきの中の実が食べれるよ」と送っていただいたことも!納品書に、野菜のおすすめポイントやコメントが毎回書いてあったりして、農家の方とのつながりを感じて温かい気持ちになります。そのようなほっこりするような瞬間があるのはいいな、と感じていますし、メニューを通してお客様にも楽しんでいただければ嬉しく思います。

 また、地域の野菜や食材を使うというのは大前提ですが、カフェのすぐ横にあるバルトホール(市民ホール)や上の会議室を利用される方が会議やホールの開場の合間などにもお越しいただき、楽しんでいただけるよう、すぐ提供できるようなメニューを意識しています。どうしても時間がかかるようなメニューもありますが、できるだけスムーズに提供できるようにしています。

過ごし方を自由に選べる場所

 感染症が流行したときから、自宅以外で過ごせる場というのがより求められている気がします。ずっと家にこもっているのではなく、誰かと一緒でなくても外で過ごせるような。

 コロナ禍中はゆっくりひとりで利用されるかたやリモートワークをされる方が多かったと思いますが、今は感染症が流行する以前のように、お話や交流をされる方が多く、日常が戻ってきたように感じます。

 カフェだとちゃんとお茶をしなければいけない、何か頼まなきゃいけないという緊張感がありますが、ここはドリンクの金額もあまり高くなく、気軽に来ることが出来ます。店内が広々としていて隣の席との距離があるので、周りの目が気にならず、お茶だけでなく本を読んだり、仕事をしたりと、お客さんの好きなように過ごしていただけると思っています。オレンジブーツはこのように「自由に過ごせる場所」です。

「やってみたい」の一歩目を応援する

 秋にあったまちづくり府中さんが主催の「むさし府中まちゼミ」では、オレンジブーツを会場に「己書」のワークショップを開催しました。他にも日常的に様々なワークショップやイベントが開催されています。

 上階の会議室を借りるには会場費がかかりますが、始めたばかりで集客に不安がある方もいらっしゃるかと思います。オレンジブーツでは、そんな方にも気軽にカフェでのワークショップを開催していただき、「やってみたいな」という人たちの挑戦できる場にしていきたいです。

情熱を感じるまち、府中

 私は神奈川県出身で、店に配属されて初めて府中に来たのですが、地元愛が強い人が多い気がします。市の施設にいるからそう感じるのかと思っていたのですが、そういう訳ではなく、お話を聞いていたり、府中のまちなかにある昔ながらのお店に入ると、地元の人同士でまちを盛り上げていこうという情熱を感じます。地元愛にも色々あると思いますが、神奈川は「落ち着くホーム」という感じで、府中は「お祭りのような熱さ」というものを感じます。

 また、府中の人は府中にずっと住んでいる方が多い気がします。そういった話からも、ずっと住みたいと思えるようなまちなんだろうなあと思います。

これからのカフェオレンジブーツ

 これからも皆さんに喜んでもらうことはもちろん、食を通して府中や姉妹都市のことを知ってもらったり、人と人とを繋げるような場にしていきたいです。以前、姉妹都市である佐久穂町の特別メニューを出して佐久穂の魅力が伝わったときに、私自身すごくやりがいを感じました。そのような機会を今後も作っていければいいなと考えています。

 また、店長としてはスタッフが働きやすい環境づくりをしていきたいと思っています。プライベートが充実していることも大事だと思うので、ここで働くこととプライベートのバランスがしっかり取れるようにしたいです。

 2017年にプラッツと同時にオープンしてから、府中に住む人々に多く利用され愛されてきた、カフェオレンジブーツ。これからも地域とともに歩み、新しい出会いを生むカフェになっていくのだと感じました。住んでいる府中の魅力から、まだ行ったことのない地域の魅力まで「新たな出会い」を求めてカフェオレンジブーツへ行ってみてはいかがでしょうか。小林さん、取材にご協力いただきありがとうございました。

(文:梅本杏月 東京農工大学学生)

  (写真:村元義樹 東京農工大学学生)


府中に息づくお店探訪「北野エース」in ミッテン

豊かな食生活の基盤となり、市民から愛されるお店を目指して

私たちの心と体を支える最も基本的で大切な要素、その一つに「食事」が挙げられます。今回紹介するのは、食生活と密接に関わるあの場。

ミッテン府中B1階に店舗を構える「北野エース」は、ユニークで豊かな品揃えと大人気のプライベートブランド商品で私たちの食生活を彩る食料品専門店です。こちらの棚からあちらの棚へ、目新しく食欲をそそる商品の数々へついつい目を奪われ時間が経つのを忘れてしまいそうに…意外と知らないお店の特徴や人気を支える秘密、お客様との交流について店長の日高さんにお話を伺いました。

 

日常にも、プレゼントにも。美味しい!の発信地であるために

日本中に食料品を扱うスーパーマーケットが点在する今現在ですが、北野エースさんならではの特徴とは一体何でしょうか。紺色の制服に身を包み、笑顔で迎えてくれた店長の日高さんにお聞きすると、「珍しく面白い商品やプライベートブランドの商品を取り扱い、生活の様々なシーンに合わせてお客様の需要を最大限満たすことができること」が強みであるとのこと。

「私たちが取り扱う商品の中には、正直少々お値段が張るものもあります。日常のお食事としてご購入していただく方ももちろんいらっしゃいますが、大切な人へのプレゼントにご購入される方もいて、この点が北野エースの特徴ではないかと思います。」

 

日高さんによるとプレゼント用のラッピングサービスも承っているのだそう。取材の流れで、母に贈り物をするとしたらどの商品がおすすめか聞いたところ、まず初めに「お母様の食の好みはありますか?」と聞いてくださったことが最も印象に残っています。お店としておすすめの商品を提案するより先に、まずは客の目線に立ち、その要望に寄り添って商品を探す姿勢に大きな安心感と信頼を覚えました。

「私たち北野エースのスタッフは商品の味に自信を持っています。スタッフはどのような特徴のある商品かよく把握しているので、購入を悩まれているお客様がいらっしゃったら是非お気軽にお声がけください。レシピや活用方法などもお伝えいたします。」

魅力的なレトルトカレーが大集合!「カレーなる本棚®」

「こちらの「カレーなる本棚®」は2009年に考案され、2012年に商標登録、そして来年で15周年を迎えます。」

赤、黄色、青と色とりどりで様々なデザインが施されたカラフルなレトルトカレーの商品棚を眺める日高さん。まるで本棚のように配列されたレトルトカレーはおよそ150種類あるのだとか。これだけ数が多いと何を選んだらよいのかと圧倒されていると、「カレー大賞」のポップが目に飛び込んできました。「カレー大賞」とは2019年から始まり、毎年全店のスタッフさんが投票を行い最も人気のカレーを決める取り組みのことです。スタッフさんのコメントも載せられているため、商品の味や香りなどがよくわかり、カレーを選ぶ際の参考になります。日高さんのおすすめは女性人気の高い「北本トマトカレー」や牡蠣がごろごろと入った「かきカレー」だそう。他にもエスニック風カレーや飛騨牛を使った高級カレーなど様々な商品を見つけることができ胸が弾みます。

「『カレーなる本棚®』は10数年前に食事の利便性への需要が高まったことを背景に考案されました。店舗によって仕入れる種類や配列の規模は異なりますが、今では全体で約100~300種類のカレーを取り扱っています。たくさんのレトルトカレーをお楽しみいただけるので、是非お気に入りを探してみて下さい。」


「キタノセレクション」より、おすすめ商品大紹介

お菓子、ドレッシング、出汁など約700種類に渡る幅広い分野に商品を展開する北野エースのプライベートブランド「キタノセレクション」。その中でも特に人気を博しているのは「明太子なめ茸」だそうです。福岡の有名明太子店「ふくや」とコラボをしたこちらの商品は近年販売が開始されたばかりですが既に大人気商品なのだとか。今年で3回目になる「めしとも大賞」(ご飯に合うおかずランキング)で1位を獲得し、全国で約10万個の販売を達成しました。また、おすすめ商品の「無選別えびせん揚げ」はほどよい塩気と口に広がるえびの香ばしさに多数のリピーターが付くのも納得の味です。さらに「炭焼珈琲ゼリー」は1口サイズで食べやすく、オブラートが溶ける懐かしい食感と濃厚なコーヒーの味がマッチして、高級感のある味わいでした。

府中の「美味しい」を支える食料品専門店

「ミッテン府中は伊勢丹を改装して建設された商業施設のため、伊勢丹のあった当時から現在もここに通われているお客様が多くいらっしゃいます。そのためか美味しいものに対するこだわりを持たれている方も多く、私たちもいかに美味しいものを提供できるか、ということを常に考えています。」

味には自信があるんですよ、と微笑む日高さん。北野エースでは商品の味を知ってもらうために試食販売にも力を入れています。今秋ではお米に混ぜて炊くだけのお手軽炊き込みご飯シリーズ「国産きのこのごはんの素」の試食販売を行っていたとお聞きしました。

「試食してその場ですぐに買っていただかなくてもいいんです。家に帰ってから、あの商品美味しかったなと思い出したり、知人に共有したいなと思っていただいたりしてもらうことが私たちの喜びです。」

さらに、北野エースではフェアやイベントも行われています。今年の10月にはミッテン府中店初のイベントとなる「チーズの詰め放題」を開催し、あらゆる種類のチーズを前に多くのお客様が訪れました。また今年から、お客様の満足度に繋がる工夫として「エースサービスアワード」という接客コンテストが始まりました。ミッテン府中店には本コンテストで優秀賞を獲得したスタッフさんも在籍しています。

「せっかくお越し頂いたお客様が残念な気持ちで帰ることがないようにしたいというのが私の思いです。例えば品切れの商品があれば、近くの他店舗に連絡を取ったり別の商品を紹介したり、お客様ががっかりされないためのアプローチを様々に考えます。お客様に「美味しい」経験を提供し、心のこもった接客を通して「また来たい」と思っていただければ本望です。」と日高さんは朗らかに語ってくれました。


これからの府中との繋がり

「地域ぐるみで街を盛り上げようと様々なイベントを行っている点が府中の特徴だと思います。毎月マルシェやマーケットなどが開催されており、私たち北野エースもまちおこしの一端を担えるようになりたいです。」と話す日高さん。実際北野エースを訪れるお客さんは地元の方が多く、既に顔見知りになった方や従業員とお話をするために足を運ぶ方もいらっしゃるそうです。

「地域に根差したスーパーマーケットとして、長く愛されるお店でありたいです」

日常の買い物に、ちょっと良いものが食べたくなった時に、大切な人へのプレゼントに。魅力的な商品と日高さんをはじめとした明るく温かな従業員の方々に会いに、ミッテン府中B1階、北野エースさんに足を運んでみませんか?

(文:堀詩 東京外国語大学学生)

(写真:山口 紗和 東京外国語大学学生)


府中に息づくお店探訪「金子園」in フォーリス

長きにわたって府中を見守る地域のお茶屋さん

今回取材したのは、フォーリスの1階にあり、昭和41年から府中にお店を構える日本茶専門店の「金子園」さんです。

20代のまだなにも分からない頃に赴任し、数々の転勤を経てまた府中に戻ってきた店長さんに、お店の特徴や、お店から見える府中について、お話を伺ってきました。

 

豊富なお茶を幅広いお客様に合わせて用意している老舗のお茶屋さん

この店舗は昭和41年、1966年からオープンしており、今年で57周年を迎えます。(様々な場所に出店している中でも、府中の店舗は)金子園の歴史の中でも2番目にオープンしたお店ということで、とても歴史があります。

 

商品は静岡茶を主に扱っているのですが、他にも海苔やお茶請け、お総菜などまで幅広く扱っています。

(府中店は)お茶の種類が本当に多くて。選べる楽しさがあったりするのかなというのは思いますね。様々なお客様に来ていただいているので、そのニーズにこたえられるように、日本茶だけでなく麦茶やコーヒーなどもそろえています。

 

お茶好きの多い府中

他の店舗と圧倒的に違うのは、おいしいお茶を求める方が府中にはとても多いこと。お茶に詳しい方も多くいらっしゃり、私も最初は色々教えてもらったほどでした。お客様から学んだことを他のお客様に伝えると「そうよね!」と納得してもらえたりしたことも昔はありましたね(笑)

あとは他の店舗に比べてお茶の販売量は多いので、お茶を専門に扱う店舗としてやりがいはあります。

私もいろいろな店舗を経験してきましたが、府中はお茶をたくさん飲まれる方が多い印象です。再開発で新しく様変わりした街ではありながら昔からの歴史も受け継いでいて、お店に来られる方でもご年配の方から若い方まで幅広い年代の方に来ていただけているという点が他のまちとは違う点です。金子園の店舗の中でも、府中の店舗では日本茶の売り上げが毎回トップ3に入ります。府中店では扱っているお茶の種類も多く、様々なお客様のニーズに合うようにしています。

 

 

1杯のお茶を通じてコミュニケーションを

このお店の強みとしては、やはり店頭でお茶の試飲ができるところですね。このお店ではお客様との対話を特に大切にしているので、声掛けなども積極的にしています。挨拶から始まって、お茶を一杯飲んでいただくと、お客様のことだったり、お祭りのことだったりとお話を聞くことができ、その中でお客様が求めていることを探し、商品を通してお客様によろこんでいただくことが私たちにとっても一番のよろこびです。

 

コロナ禍でより感じられたコミュニケーションの必要さ

金子園は店頭での試飲をお客様への感謝を伝えるという意味でも、コミュニケーションの場としても大切にしているのですが、それがコロナ禍でできなくなってしまったんです。

今までは当たり前に出来ていたのに、出来なくなってしまうととても大変でした。

ここ半年でようやく対話ができるようになってからは、シャキッと身を正してまずお茶を入れるというようにしています。対面でのコミュニケーションが一度できなかったことで、これからのお茶入れを大切にしていきたいとより強く感じるようになりました。

 

5年、10年、と続くお店へ

私たちは、会社設立から「地域一番店を目指そう。あとはお客様が喜んでいただけるようにお茶を届けよう。」ということをモットーにしています。

店頭で扱っている商品も鮮度に気を付けていて、おいしいお茶をお客様に届けられるようにしています。

また、来ていただくお客様の中にはご年配の方も多いので、ちょっと座ってお茶を飲んでいってもらえるような空間にしており、お店の中で少しの間でもゆっくりしてもらうことを歓迎しています。

先日、親子三代で来てくださったお客様がいました。私がこのお店に来たときにはまだちいさかった方がお子さんを生んで一緒に来てくださって、昔からずっと来てくださるおばあ様もそうですが、そうやってお子さんに代々受け継がれていくというのってとても素敵なことだな、変わらずにお店があってよかったなと思います。

だからこそ、これからも50年間続いてきた歴史を繋いでいきたいです。お客様に喜んでいただきたいという気持ちと、おいしいお茶を飲んでほしいという気持ちをもって。

お客様が5年10年たっても府中に来たら「あのお茶屋さんまだあったのね」と思ってもらえるように頑張りたいですね。

ゆくゆくは、府中と言えばといわれるようなお店になりたいです。

筆者コメント

取材後には私たち取材班にもお茶をふるまってくださいました。

店内にある大きなお釜からだけではなく、店員さんからのあたたかさも感じられる素敵なお店でした。

これからも府中の一角で茶釜のようにどっしりと構え、いつでも帰れる場所であってほしいです。

素敵な時間をありがとうございました!

 

(文:野崎 夏帆 東京農工大学学生)

(写真:村元 義樹 東京農工大学学生)