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コリアンキッチン シジャン 府中くるる店(府中ワールドフェスティバル特集記事)

くるるの4階、チゲの香りに誘われて店に入ると、そこには韓国からやってきた雑貨に囲まれた暖かな空間が広がっている。ここ「コリアンキッチン シジャン」は、くるるが開館した当初に店を構えてから十余年、多くの人に愛されながら韓国の家庭料理を提供し続けている。シジャンとは、韓国語で市場の意。当時のプロジェクトリーダーが韓国を訪れた際、市場に集まる多くの人々や食材のパワーに惹かれ、そんな活気のあふれるお店にしたいという思いを込めてこの名を付けたという。

 

体の中から健康に

シジャンのコンセプトは「薬食同源」。良い食事は薬と同じように体を健康にするという意味の言葉で、東洋の伝統的な食事観を表している。「楽しみながら食べていただいて、体の中から健康になってもらえる、そんな料理を提供しています」と山口店長が言うように、健康的としても知られる韓国料理を、薬食同源のコンセプトに乗せてお客さんに伝えている。

 

 

韓国を感じることのできる空間

「韓国らしい空間を作ろうとしても、うどん・そばを展開する企業だからか、どうしても和風に近くなっていってしまうんです。」そんな苦労もあったようだ。そのような中でもお客さんに少しでも韓国の雰囲気を味わってもらうために、店内では漢方を空の瓶に入れてディスプレイにしたり、棚や花瓶、古典的な文字が書かれた巻物など、韓国の雑貨を織り交ぜながら空間づくりをしてきた。また、食器や箸も銀のものを使い、楊枝は韓国特有の、トウモロコシのでんぷんからできたものを置いている。
「うちのように海外の料理を扱っている店は、食事はもちろんのこと、現地の雰囲気を味わっていただけるようにすることも大事だと思っています。」普段は見過ごしてしまいがちな一つ一つの店内雑貨だが、その後ろには様々なストーリーが隠れている。そのようなストーリーを見つけながらお店を見まわすのも、楽しみの一つとなりそうだ。

 

地元に愛されるお店へ

今となっては各所で目にする韓国料理だが、開店当時はそれほどメジャーではなかった。そのような中で、より多くの方に、日常的に韓国の料理を楽しんでもらいたいと、変わりゆく時流や地域の雰囲気に合わせて試行錯誤を繰り返してきた。辛さは控えめにし、また和風のだしを使用することで、日本人にもなじみのある韓国料理となっていった。

数年前、スンドゥブチゲの味をリニューアルした際には、常連のお客さんから多くの反響をもらい、地元に愛されていることを実感したという。多くの方に楽しんでもらいたいという思いは、老若男女を問わない多くの人からの愛となってお店へ返ってくる。入店時に感じた暖かさは、チゲの湯気から出るそれだけではなさそうだ。

 

【インタビュー・文】 関谷 昴(東京外国語大学英語専攻4年)


Korean Kitchen Shijan コリアンキッチン シジャン 府中くるる店

DATA

〒183-0023 東京都府中市宮町1-50くるる府中4F

TEL : 042-334-9025

営業時間:11:00 ~ 22:00(LO21:30)

定休日:年中無休(くるるに準ずる)

 

公開日:2019.03.26 / 最終更新日:2024.3.24

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