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府中に息づくお店探訪「青木屋」in フォーリス

店主の優しさ溢れる老舗和洋菓子屋「青木屋」

 

府中駅横「フォーリス」の1階に店舗を構える「青木屋」は、武蔵野地区に13店舗を構え、今年で創業130周年を迎える老舗のお菓子屋です。人気商品である「武蔵野日誌」を筆頭に、どら焼きや饅頭など、長年にわたり地域の人々に愛されるお菓子を提供しています。

こちらでは、店舗の歴史、店長の冨田さんのご経歴や店舗運営におけるこだわりについてご紹介していきます。

 

明治時代から続く「青木屋」が地域に愛され続ける所以

 

ー青木屋さんは今年で創業130周年を迎えたそうですね。長く愛される秘訣は何だと思われますか?

地域に密着した店舗づくりをしてきたことだと思います。例えば、学校にはかなり根付いていますね。小学校から大学まで、卒業式、入学式、文化祭などで出しています。また、冠婚葬祭で使っていただいたり、子ども食堂さんのお菓子として出したりと、ことある場面で青木屋のことを利用していただいています。

昔から府中に住んでる方が今もよく買いに来てくださるのも、青木屋がずっとこの地域とともに歩んできたからです。地域の皆さんのおかげで、ここまでやってこれました。

他のお菓子屋さんとの違いとして大きいのは、青木屋ではお菓子は全て府中にある自社工場で作っていて、自社便で各店舗に届けているので、作りたてを販売できていることです。近隣地域への配送も、青木屋便があるので全て無料です。大きすぎる会社ではないため、新商品が出たらすぐ全店舗展開もできますよね。こうして身近なお客様に一番美味しい状態ですぐにお届けできる工夫をしてきたからこそ、地域の皆さんに馴染んでいただいてるのかな、と思います。

 

何事にもNOは言わない。——より多くのお客様に笑顔を届ける工夫

ー冨田さんの、働く上でのこだわりを教えてください。

お客様のご要望になるべく応えることです。例えば、以前、一升餅(一歳になったことをお祝いする一升サイズの餅)を当日に購入したいというお客様がいらっしゃいました。本来は予約をもらって前日から餅の用意をするものなんですけど、一生に一回しかないことなので、こちらも応えてあげたいと思いました。そこで、なんとか夜でしたらご用意できますと伝えて準備をしたところお客さんにすごく喜んでもらえて、後日「良いお祝いができました」と感謝の連絡が来ました。すぐ「できない」と言うのではなく、最善を尽くすのがこだわりですね。他のお菓子屋さんだったらできません、と言われるけど、青木屋だったらなんとかしてくれるかもしれない、って思ってくださればお客様は来てくれますし、やっぱり、喜んで買ってくれるのが一番良いですね!

ーそうなんですね。冨田さんはお客様に価値提供するため多くの工夫をしているようですが、何か心がけがあるのでしょうか?

そうですね、従業員のスタッフがやろうとしていることに、NOを出さないことです。やってみてダメだったらやめれば良いだけなので、ダメっていうことは何もない。例えば、売り上げアップを目指すにしても、「どうやったら売れるかな?売れる工夫ある?」と訊いて案をもらう。そしたら案が出てくるから、ちょっと試してみる。すると、どうやって売ろうか、とみんな意識し始めるんです。意識し始めると売り上げって上がってくるんですよ。明日明後日に売り上げを上げよう、っていうのはめちゃくちゃ難しいことなので、少しずつ気持ちを高めていって、売ろうっていう意識の土台を作る。一人ずつの意識が上がって行ったら、総勢18人いるので、その力ってとてつもなく大きいです。こうして、過去最高売り上げを更新していっています。

 

キーワードは「雰囲気づくり」

ーお店を運営する上で、心がけていることはありますか?

とにかく、スタッフに楽しく働いてもらうことですね。大学時代にお菓子屋さんでアルバイトをしていた時、店長がめちゃくちゃ厳しかったんです。常に機嫌が悪くて、怒られて、嫌だなって感じていたので、自分はその逆をやろうって思いました。反面教師ですね。自分は、店長だからこそいつも笑っていられるようにしています。疲れた顔もあんまり見せない。

ーなるほど。一番に雰囲気作りを重視しているんですか?

そうです。彼らが楽しく働いてくれたら、絶対に売り上げはついてくるんですよ。集客はこっちでやるよ、だからスタッフさん達は楽しんで売っちゃってね、という考えでいます。

ー素敵なお考えですね!スタッフさんの定着率も高そうですね。

結構長く働いてくれていますね。学生だったら卒業するまでいます。それだけ居心地いいのかなって。

シフトが入ってない日も来てくれるんですよ!喋りにきてるんです。(笑)そういう時にこそ、あ、来やすい場所にできてるんだなって感覚になります。中学生の職場体験もやってるんですが、半分以上の人は終わった後にまた来てくれて、「楽しかった!」って言ってくれます。ありがたいですね。彼らが青木屋のことを好きになってくれて、ふとした時に買いに来てもらえる。そういうことが積み重なっていけば、売り上げも上がっていく。私たちもお客さんも嬉しい関係性を作るために、青木屋のファンが少しずつ増えていくことが大切なんです。

アルバイトの関さんにもお話を伺ったところ、「店長は毎日、その日シフトに入っている全員とコミュニケーションをとることを意識している」と教えてくださいました。冨田さんが明るく楽しい環境づくりをしていることをひしひし感じるそうです。

 

実は筆者も幼少期に「武蔵野日誌」を毎週のように食べており、青木屋さんは馴染みのあるお店でした。そのため、今回のインタビューでは、知られざるこだわりを聞けると、ワクワクして取材に臨みました。お話する中で、冨田店長の過去の経験を通じて生まれた優しい心がけが、働き手、買い手の双方に長く愛されるお店づくりにつながっていることが伝わって来ました。これからも武蔵野の地で、お客様に愛され続ける青木屋さんであり続けていくのだと感じています。

店長・冨田さんの素敵なお人柄が生み出す居心地の良さと、歴史ある味わいを楽しめる「青木屋」さんに、皆さんもぜひ訪れてみてください。

(文:宇田川あみ 東京外国語大学学生)

 

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公開日:2023.07.25 / 最終更新日:2024.3.24

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