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【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「BASE.S CAFE & DINER FUCHU TERRACE」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
府中テラスさんの講座は中止となりました
【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

{{{このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。}}}


 

府中のまちの「つながりのかたち」

 

府中駅から徒歩3分ほど、目の前にある大國魂神社の荘厳な雰囲気とコントラストをなすように、とても柔らかな雰囲気のあるカフェが佇んでいます。こちらが今回紹介させていただく、「府中テラス」さん。

 

お店の外壁は全てガラス窓になっていて、外からでも中の様子や混雑状況もよくわかるので、今のようなご時世でも安心して入ることができます。テラス席もあるので、ソーシャルディスタンスもばっちりとることができるのがうれしいですね。

中に入ると、笑顔の店員さんと雰囲気のいいBGMがお迎えしてくれます。中にいるほかのお客さんはみな幸せそうな笑顔を浮かべていて、とてもゆったりした時間が流れています。

 

今回の取材では、食材にこだわっているこのお店の食品事業に関わっている、中野寿仁さんにお話を伺いました。

 

府中のまちの「つながりのかたち」のレモネード~一つのお店だけではつくれないもの

今回のまちゼミでは、食材にこだわること、府中に関わるものを加える、といった「うちのお店っぽいこと」をしたいと考えました。

そこで、お店で実際に出している、レモネードのシロップ作りをすることに決めました。このレモネードは単体で飲むだけではなく、家にある素材を使って手軽にアレンジレシピを楽しむことができます。これを機に、今よりもっと充実したおうち時間を過ごしていただけたらと思っています。

水やお湯でアレンジするのもいいのですが、うちのお店では、このレモネードをアイスティーで割ったものをお出ししています。実はこのとき使われている紅茶は、府中の紅茶の専門店の「サンタマリア」さんから提供していただいています。先日からはサンタマリアさん独自ブレンドの紅茶の茶葉販売を店頭でも始めました。このような形で府中の街の情報発信もしているので、それも知っていっていただけたらと思っています。なぜ「こだわりの食材」を選ぶのか___社会問題と会社の歩み

私たちは元々ITを主軸にしていた企業で、店向けのPOSレジなどを扱っていました。その事業の中で、よりお店の気持ちを知り、導入してもらいやすいようにと考えて、自分たちで飲食店を開くことに。海の家や唐揚げ店などを開店してきました。

お店の経営をしていく中で農家の方と実際にお会いする機会があり、農家の方がある問題を抱えていることを知りました。

それは、野菜を作っていくうえで、規定を満たさないため市場に出せない作物があったり、とれる数量が多いと廃棄になったりしてしまっている、「食品ロス」についてです。これは農家だけに限った話ではなく、精肉などの他のジャンルの生産者の方も抱える問題でした。例えば、部位によって市場価値が異なり、1頭から取れる部位ごとに出荷量の偏りが出てしまうことで行き場のない部位がでてしまう、といった現状があることです。

このようなことは、非常にもったいないことだと思いますよね。しかし、そういった商品をどのようなルートで売ったらいいのかわからない。実際問題、農家の方は普段の業務で手一杯で、新しい流通ルートを開拓するような余裕がありませんでした。

そこで、もっと農家の方の作ったものを多くの人食べてほしいと思い、うちの会社で取引を始めました

この事業をしてよかったことは、どのような人がこの食材を作ったのか、どのような人がこの食材を使っているのか、両方の「顔が見える」ようになったことです。うちはお店側、生産側どちらの気持ちもわかるので、どちらも納得した食材の取引ができます。

食材を使う側からすれば、どんな人が、どんな思いでこの食材を作ったのかという物語がわかることで、新たな料理のインスピレーションにつながることがあります。

逆に食材を作る側からすれば、自分の作ったものが、どんな料理に変身したのかを知ることで、食材を作るモチベーションにつながることがあります。

こうした事業で学んだことを活かし、府中テラスでも生産者の方のお顔が見える食材にこだわっています。

飲食事業は府中だけでなく他県でも展開しているので、お店では多くの場所で作られた食材を使っています。もちろん、府中で作られた食材も使うのですが、府中の人が他の地域の食材を知る場としても、この店を利用していただければいいなと思っています。

 

さらに、今後の食品ロス削減の取り組みとしては、「Jimono」さんという、地元で育った野菜を農家さんから直接仕入れている会社と協力し、「Jimono」さんで扱っている野菜をこの府中テラスで店頭販売していく予定です。

府中テラスでは日替わりランチをやっているので、もし、「これは明日になったらお客さんに買ってもらえないだろうな」という野菜が出てきてしまったときは、その中のメニューに入れることで、無駄になる野菜を少しでも減らすことができると考えています。

「府中」に根付くお店___「つながり」が希薄になった時代だけれど

お店で出すものとしては、産地にこだわったもの、ということを重視しているのですが、府中テラスの方針としては、特に「人とのつながり」を大事にしています。先ほどお話したような、生産者の方とのつながりはもちろんなのですが、府中の人とのつながりというのも大切にしているものの一つです。

今回のまちゼミのレモネードもそうなのですが、うちは府中の他のお店に協力してもらって出しているものがいくつかあります。

お店で出しているケーキも、実は府中の老舗洋菓子屋さんの、「モナムール清風堂」さんに、うちのお店のために作ってもらっているものなんです。

以前、うちのお店でケーキを作って出してみよう、という案が出たのですが、クリームなどは特に繊細なものなので、作るのが困難でした。そこで、うちで作るのが無理なのであれば、専門の方に頼むのが一番だろうということになったんです。

 

また、お店で使っている府中で作られた野菜は、府中の青果店の、「Jimono」さんのところで仕入れています。府中で作られた野菜を使いたい、と思っても、府中の農家の方たちと直接つながるのは大変なことなので、もう既に府中の農家さんと信頼関係を築いている「Jimono」さんから買うことで、府中の農家さんとつながることができています。

一つのお店で全てのことをやっていこうとすると、中途半端なものになってしまうんですよね。全てのものについて極めるということは難しいので、あくまでもお互いにメリットが生まれるような形で、他のお店に協力してもらうことで、お客さんに安らぎを与えることのできる空間を提供することができていければと考えています。

まちゼミに向けて

おうちでも簡単に作って飲んで楽しめるという講座を考えているので、こういった状況ですがおうち時間を楽しめるようなものをまちゼミを通してふやせたらいいです。特にお子さまと一緒に楽しんで作れることができるのでぜひお越しください。

 

今回の取材で、「人とのつながり」を大事にしながら、「食品ロス」という大きな問題に立ち向かう府中テラスさんの道程をお聞きすることができました。その問題に気づき、取り組み始めることも、きっとIT企業という別の顔を持つこの会社だからできたことなのだと感じました。そんな他のカフェとは一味違った「府中テラス」さんに、皆さんも足を運んでみてはいかがでしょうか?

【インタビュー・文】井上真歩(山梨県立大学看護学部1年)
【写真】関谷昴


【店舗情報】

BASE.S CAFE & DINER FUCHU TERRACE

住所:府中市宮西町2-2-12
TEL:042-407-2675
定休日:なし

公開日:2021.01.7 / 最終更新日:2024.3.24

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