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【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「花はよしがき」

【まちゼミ特集】府中に息づくお店探訪「花はよしがき」

※緊急事態宣言及びGOTO商店街事業一時停止延長に伴う国からの要請に従い、店舗内等で行うまちゼミについては中止となりました。
 Zoomを使ったオンラインまちゼミは予定通り実施いたします。
「花はよしがき」さんの講座は中止となりました。

【オンラインでの開講講座一覧はこちら】

このコラムは「第3回むさし府中まちゼミ」の講師となる方への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
取材を行ったのは、府中に関わる学生を中心とした若者達。若者の視点で府中のまちなかが見えてきます。
※この記事は2020年12月の取材に基づき作成されました。


交番よりも道を聞きやすいお花屋さん

 

けやき並木の大通りから一本入り、落ち着いた雰囲気の通りをしばらく進むと、突如鮮やかに映えた店構えが現れます。草木の緑とカラフルな花々、そして可愛らしいポップで和やかな雰囲気を醸し出すこちらのお店が、今回ご紹介する生花店「花はよしがき」さんです。

この記事では①どのようなお店なのか、そのコンセプトとは・②お店のこだわりポイント・③今回のまちゼミで行う講座の概要とその思いについてご紹介していきます。

Friendly Florist

「吉垣生花店」は1946年創業で、70年以上の歴史がある花屋です。その間ずっと大事にしてきたのは、お客さんや町にとって役に立つお店作りをすること。コンセプトは”Friendly Florist”(フレンドリーフローリスト)。ただモノを売るだけではなくて、人が声をかけやすい、入りやすいお店にするのが一番意識してる所です。買い物じゃないお客さんでも声をかけやすい、いわば”交番よりも道を聞きやすい店づくり”というのを目指しています。

花を売るときに心がけていることは、「送る人の気持ちが一緒に乗っている」というのを意識すること。受け取る人に喜んでもらうというのは非常に大切なので、送り主(お客さん)にヒアリングをすることがよくあります。「あげる相手はどんなイメージの方?普段何色を持つことが多い?」という風にヒアリングをして、贈る花のコンセプトを一緒に決めていきます。四季にあったものやイベントごとの花についてアドバイスできるのも、専門店ならではの仕事だと思っています。お花について分からないことがあったら、私たち花屋に相談してくださいね。

花言葉について聞かれることもありますが、基本的には意識しないようにしています。一生懸命咲いているものに、人間のスタンスで言葉をつけてしまっているのは可哀そうですから。例えば、黄色いバラには”博愛”という意味のほかに”嫉妬・妬み”という意味が、アジサイには”移ろ気”という意味がついています。しかし、もともと花は全部きれいなものです。誰かに花をプレゼントするときは、花言葉を意識するのではなく、その相手の本当に好きな花、本当に似合う花をあげる方がいいのでは、と思っています。

 

四方良しのお店作り

鮮度は非常に大切にしています。花がもつ期間というのは、持つ人の手のかけ方によって大きな偏りが出るので、お客さんには管理方法のアドバイスを丁寧にしています。また、(お店で売る期間に)見切りをつけることも大切。「まだ売れる」と思って売ってしまうと、お客さんが帰ってから楽しむ期間が短くなってしまう。それは正直な商売じゃない。大切なのはお客さんが帰ってから楽しむ時間なので、これはもう売れない、というのは売りません。

一方で、式典や開店などのお祝いでのお花は、長く持つことよりも、「その一瞬に満開であること」が重要です。状況に合わせたお花の役割を考えることで、無駄になってしまうお花も少なく、多くの方に楽しんでいただけます。

また、商売の原則で一番大事にしているのは「四方良し」という意識。近江商人の三方良し「売り手良し、買い手良し、世間に良し」(自分たち、お客さん、社会的に正しい商売をして良いものを売る)に加えて、「作り手良し」、つまり生産農家さんにとって良い商売をするということです。これが「花はよしがき」のコンセプトの大前提にあります。私たち小売事業者は、生産農家さんが一生懸命作ってくださることで初めて商売が成り立ちます。だから、適正な価格で仕入れて、適正な付加価値を付けて売る。そういうところが、「四方良し」で非常に大切な部分だと思っています。

花束文化を日本に

まちゼミでは「手軽に楽しくフラワーアレンジメント」という講座をやります!イメージは、全くの初心者、花に触ったことない人に楽しんでもらうこと。あえて9時からという遅い時間にしたのは、仕事がある男性陣に楽しんでもらいたいからです。

講座では、バレンタインもしくはホワイトデーに向けてのアレンジメントを作る予定です。実は、日本以外の国ではバレンタインに男性から女性に感謝を込めて花を贈ります。この”フラワーバレンタイン”を日本にも広めたいんです。また、日本の男性は花束を買ってもほぼ100%「袋に入れてください」と言いますが、その理由は「恥ずかしいから」。海外のように花が生活に根付くようになって、颯爽と花束持って歩くような文化が日本にも根付いてほしいですよね。今回のまちゼミが、これを広めていく一つのきっかけになれば良いな、と思っています。

快くインタビューに答えてくださった吉垣さんとそのご家族・従業員の方々、ありがとうございました!お店に行くと、おおらかで人のいい店主さんと、お花に囲まれた心休まるひと時を過ごすことができます。是非訪れてみてはどうでしょうか。

【インタビュー・文】宇田川あみ(東京外国語大学3年)

【写真】山下聡一郎(東京外国語大学3年)

 


【店舗情報】

花はよしがき(吉垣生花店)

住所:府中市宮西町2-9-4
電話番号:042-360-2724