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【まちバル特集】府中に息づくお店探訪「E-KITCHEN くるる店」

【まちバル特集】府中に息づくお店探訪「E-KITCHEN くるる店」
このコラムでは、2022年に開催を予定している「第2回むさし府中まちバル」の実施店舗への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
今回は、府中市内にある東京外国語大学との連携企画として、東京外国語大学の学生取材班の皆さんに取材をしていただきました。
※この記事は2021年9月の取材に基づき作成されました。

府中駅南口と直結した大型ショッピングセンター「くるる」の1階にある「E-KITCHEN」。元々、スーパー「さくら市場館」の出張販売所として使われていた場所ですが、2020年12月9日、地元府中市の飲食店で作られたお弁当やお惣菜を販売するE-KITCHENへとリニューアルオープンしました。どのような経緯や想いがあってE-KITCHENは開店したのでしょうか?
今回は、このお店を運営する株式会社さくらコマースで新規事業開発を担当し、2021年8月までE-KITCHENの店長を務めていた柳田さんにお話を伺いました。

地元の飲食店さんの力になれるような事業を

さくら市場館の閉店によって空いたお店のスペースをどう利用すべきか考えていた頃、新型コロナウイルスの流行によって飲食店の皆さんは厳しい状況下に置かれていました。

「そうだ、地元の飲食店さんの力になれるような事業を始めたい。」と、柳田さんは考え、府中市内の飲食店が作ったお弁当やお惣菜の代行販売をするE-KITCHENは誕生しました。

「とにかく最初は、私が1軒1軒食べ歩いてお弁当を提供していただくお店を決めました。」と、教えてくれた柳田さん。生まれも育ちも府中なので、地元の飲食店はある程度知っていたのだそう。すでにテイクアウトを行っていた6,7店舗の飲食店と共に、E-KITCHENはスタートしました。

「何をやるにしても0から1にする作業は大変なので、慣れていないことはなかなか皆さんやりたがらないんです。なので、少しでもテイクアウトのノウハウがあるお店に協力していただいてE-KITCHENは開店しました。今では11店舗の飲食店さんがお弁当を出品してくれています。」(柳田さん)

実際に飲食店の方から「ありがとう」と言われることも。今の時期、お店に直接行けない方が、こちらでお弁当を買われることも多いそうで、飲食店の売り上げに貢献する場となっていることがわかりました。

オリジナリティ溢れるお弁当と府中産にこだわったスムージー

そんな飲食店が提供してくださるお弁当は、オリジナリティ溢れるものでいっぱいです。

お弁当の中身はそれぞれのお店で考えられたオリジナルのものばかり。季節によって旬の食材を使ったり、付け合わせや味付けがこまめに変わったりしているので、何度食べても楽しめること間違いなし。また、店舗によっては実際にお店で使えるクーポンをお弁当に付けているところもあるそうです。600~700円程度のリーズナブルな価格で色々なお店の味見をしたあと、ぜひ気に入ったお店に足を運んでみてください。

ちなみに、毎日11店舗すべての飲食店が出品しているわけではないので、どのお店のお弁当に出会えるかという楽しみ方もあるでしょう。E-KITCHENで、その日に食べたいお弁当を見つけてみてはいかがですか?

さらに、先日からは府中産の野菜を使用したスムージーの販売も開始したそうです。

「農家さんの応援と言うとおこがましいかもしれませんが、やっぱり少しでも府中産のものにこだわってやっていけたらと思っています。」と、府中産の食材へのこだわりについても語ってくれました。

ハワイアンカフェをモデルに、女性が入りやすい空間へ

白樺のような壁紙を使い、ハワイアンカフェをモデルにしたE-KITCHENの明るい空間は、ふらっと立ち寄りやすい雰囲気を醸し出しています。実は、この空間のコンセプトにはとある狙いがあるようです。

「女性が入りやすいお店にしたかったんです。出品していただいている飲食店さんは、地元では有名で、お料理もおいしいお店だけど、女性の少人数グループや女性1人で立ち寄るには少しハードルが高いお店が多くて。なので、比較的若い女性の方にも府中市内のお店を知ってもらうために、内装も工夫しました。」(柳田さん)

実際に開店当初は、8割近いお客様が女性の方だったそう。お弁当という手に取りやすいものをきっかけに、新しい飲食店を知ることにつながっていると感じました。

また、飲食店を紹介するPOPなどは全てE-KITCHENのスタッフさんが手描きで作成したもの。1つ1つ丁寧に心をこめて作られたPOP類も、E-KITCHENの素敵な空間を生み出しています。

レンタルスペースを活用して頑張る人の応援がしたい

オープンしてから半年が過ぎた頃、E-KITCHENは新たな取り組みを始めました。今までイートインのスペースとして活用していた場所の一部を、レンタルスペースとして貸し出すことにしたそうです。

「飲食店さんの応援をモットーに半年間取り組むうちに、飲食店にとどまらず府中市で頑張る人を応援したいと思うようになったんです。実際にスペースを使ってくださる方とどんなお店にしたいか話し合いながら、一緒に作り上げていく感じです。お店のテーブルや冷蔵ケースはほとんどが動かせるので、利用する方に合わせてお店の空間もフレキシブルに変えることが出来ます。E-KITCHENとしても色々な方がスペースを使ってくれることで、お客様を飽きさせないことにつながると考えています。」(柳田さん)

実際に私が訪れた時(2021年8月)には、アパレルブランドの「FFP(エフエフピー)」さんが出展されていました。
お弁当を買いに来たついでにお洋服を見たり、お洋服に惹かれて立ち寄った方がお弁当も買って帰ったりと、相互に影響し合っているように思いました。

また、イベントを行うこともあります。府中市内のプログラミング教室「ぽてっく」さんがロボットを展示していた時は、お子様連れのお客様が足を止めることも多く、教室の紹介につながったそうです。

ちなみに、お弁当の出品やレンタルスペースの利用は、どなたでも大歓迎だそう。
「府中にお店があったり、府中で何かをしたことがあったり、タッグを組んで何かやってみようという方がいらっしゃれば、ぜひ声をかけてください。」と、柳田さんは熱く語ってくれました。

『府中市の案内所』を目指して

「今後は、レンタルスペースをもっと色々な方に使って欲しいですし、お弁当を出品する飲食店さんも増やしていきたいです。E-KITCHENに来れば府中の良いお店だったり、良いものを知ることが出来たりする、そんな案内所のような場所になれたらいいと思っています。」(柳田さん)

小さいお店なので、まだまだ情報発信力が弱いところが課題だとも話してくれた柳田さん。現在SNSはTwitterしか利用していませんが、出品・出展していただく方々の良いところをもっと伝えられるように、今後の運営方法を考えていきたいともおっしゃっていました。

「さくらコマースという会社は、府中市で長年お世話になっていて、地元の方に支えられてきました。そのお返しとして地域のために何かやりたいと常に考えています。E-KITCHENが地元に貢献出来る場となるよう、努力を続けていきたいです。」と話す柳田さんからは地元への想いが溢れていました。

2021年9月から森田さんが新店長として就任したE-KITCHEN。今後も府中の良いものを紹介していく案内所として、益々のご発展をお祈り申し上げます。

 

【インタビュー・文】太田 愛美(東京外国語大学4年)

【写真】高坂 香(東京外国語大学)


【店舗情報】

E-KITCHEN くるる店

住所:東京都府中市宮町1丁目50 くるる 1F
電話番号:042-358-5252