お店&施設情報 

【まちバル特集】府中に息づくお店探訪「BASE. S CAFE & DINNER府中テラス」

【まちバル特集】府中に息づくお店探訪「BASE. S CAFE & DINNER府中テラス」
このコラムでは、2022年に開催を予定している「第2回むさし府中まちバル」の実施店舗への取材を通して、府中に息づくお店を紹介します。
今回は、府中市内にある東京外国語大学との連携企画として、東京外国語大学の学生取材班の皆さんに取材をしていただきました。
※この記事は2021年9月の取材に基づき作成されました。

府中駅から徒歩3分。大國魂神社を目の前に、ゆったりとしたテラス席と開放的なガラス張りの店内が目を引くカフェ・レストランがあります。洗練された雰囲気の中で、何気ない日常をワンランクアップグレードできる「BASE. S CAFE & DINNER府中テラス」(ベイシーズ カフェ&ダイナー フチュウテラス)です。お客様に素敵な時間を過ごしていただけるよう、おもてなしの心を大事にした従業員さんの素敵な笑顔と、地元食材へのこだわりが魅力です。今回は、こちらのお店で店長を務める中野寿仁さんにお話を伺いました。

 

府中で地産地消、食品ロスに取り組むお店

本業はIT企業だという府中テラス。事業の一つとしてレジ周りの端末など飲食店向けのシステム開発を行ってきました。どんな機能が欲しいか、画面一つとっても、どんなUIデザインだとお客様にとって使いやすいか、そういった顧客のニーズを自分たちで販売することにより勉強してみようと、9年ほど前に飲食事業をスタート。海の家や唐揚げ店を始めました。その折、5年ほど前に、徳島県の農家の生産品を首都圏の飲食店に販売する1年間限定のプロジェクトに協力会社として参画。農作物の新しい販路を開拓するプロモーションを担当したことがきっかけで、地元食材を積極的に取り入れるようになったそうです。

一般的な飲食店だと、食材の卸問屋や小売業者から食材を仕入れるため、なかなか農家と直接繋がることはありません。農家さんと直接繋がることで、どんな想いで野菜やお肉を育ててきたかを知ることができます。

「同じ食材でも、農家さんによって野菜のサイズや色、味が違います。そして、こだわりや想いも直接聞けるので、僕らもそれを活かした料理を作っていきたいという想いがあり、地方の生産者さんが作った食材を必ず入れています」と中野さんは言います。

農作物は、大雨でだめになったり、形が悪くて売り物にならなかったりで、販売前にフードロスになることがあります。徳島で加工品の工場も運営し、そういったものを農家から買い取って、加工品にして飲食店に販売する事業も行っています。府中テラスを含め自社の飲食店へ納品するほか、さまざまな飲食店へ卸しているそうです。

 

店名に込めた想い——「BASE. S CAFE & DINNER府中テラス」

 

ITで食材を流通させたり、加工品を作る拠点を束ねていたりといった活動を「BASE. Sプラットフォーム」と呼んでいるそうです。徳島での経験から得た知見をプラットフォーム化し、加工品を作る提携先は、徳島だけではなく秋田や北海道にも広げているそう。それを活用した店舗、ということで「BASE. S CAFE & DINNER府中テラス」というを名前をつけたそうです。

「府中市は、教育や事業者同士で地域を盛り上げる活動など、地域の連携がすごく活発だなという印象があります。地域の強さというか。昔からずっと府中に住んでいるっていうような人が多いのかなと思いますし、そこは府中の強みだと思うんですよね」(中野さん)。

 

地域の食材、こだわりのメニュー

ローストポーク丼がとても人気で、徳島の豚を使う時は、鳴門金時という芋を食べさせた金時豚を、東北の方の提携工場だったら八幡平ポークという豚を使って作っているそうです。

「ローストビーフに対して、ローストポークってなかなか珍しいですよね。もちろん味にも自信がありますし、オススメです」(中野さん)。
野菜も地元の食材をたくさん使うようにしているそうです。八百屋さんも、府中、多摩や立川などのエリアの野菜があるときは多めに入れるなど、融通を利かせてくれているそうです。パンも徳島のパン屋さんにお願いして、オリジナルで作ってもらっているそう。そのうちパンを自分たちで作るという構想もあるそうです。

「食」から見据えるライフスタイル

お店の前のスペースは、まちづくり府中と連携してさまざまなイベントにも活用しているそうです。「食からもう少し広げて衣食住に関わるイベントをやってみたいと思っています。この3つはライフスタイルに必要不可欠なものですよね」と中野さん。以前、お店をオープンした直後に、JA(農業協同組合)とのコラボで、農家による野菜直売所をお店の前に設けて農作物を販売するイベントを開催した時のこと。直売会で売れ残った野菜が少しあり、JAから譲り受け、翌日の日替わりランチで野菜を使い切ったとのこと。

「最近言われているSDGsやエシカルは、衣食住に求められますので、そういったことに関心を持って取り組みをされている方がいれば、コラボレーションできるんじゃないかと思います」と中野さんは言います。
府中密着型アパレルブランドの「F.F.P.」と徳島の藍染め屋を繋げたイベントもやってみたいそうです。藍染めが有名な徳島に由来し、府中テラスの店内にも徳島の藍染め工場に作ってもらった藍染めの装飾が多く施されています。

「府中テラスを通じて、徳島の藍染めと府中密着型のアパレルブランドとのコラボレーションが生まれると面白いですよね」(中野さん)。

IT企業が「食」に取り組む意義

 

「IT事業は、自分たちが作ったものを実際にお客様が使って喜んでいただいている瞬間に直面できる機会がすごく少ないんですよ」と中野さん。一方で飲食は接客業なので、良いことも悪いこともリアルタイムでお客様からの反応が得られます。お客様により満足していただくためにそういった声を反映させながら、IT側としてはどういったことで支えられるかを考えて実現することにやりがいを感じていると言います。まだまだIT化を進めて便利にしていくことができる飲食事業。

「今後もっともっと改革していきたいです。ITはお客様のライフスタイルを支えるツールであるべきで、ある意味、衣食住と同じようなライフラインになる必要があると思っています。ITが生活の中で当たり前になっても、それ自体は主役ではないと僕は思います。あくまでも人の生活をより豊かにするための存在のような。もう名脇役であってほしい(笑)。食という誰もが日々接するものの中で、ITのエッセンスをどう活かしていくかを考えています。それがダイレクトにお客様の「良かった」につながるのではないでしょうか」(中野さん)。

IT企業が運営する飲食店という驚きの事前情報をもとに、ワクワクしながらお店に足を運びました。いったいどんな技術を駆使したお店なのやら……。いざインタビューが始まると、「地域」や「地物」、「こだわり」という予想外の言葉が次々と飛び出してきて驚きました。地域の食材とIT技術に府中の魅力を掛け合わせて、新しい価値を生み出し続ける「府中テラス」に一度足を運んでみませんか。

 

【インタビュー・文】豊坂 竹寿(東京外国語大学大学院博士前期課程2年)

【写真】関谷 昴

 


【店舗情報】

BASE.S CAFE & DINER 府中テラス

住所:〒183-0022 東京都府中市宮西町2丁目2−12
電話番号:042-407-2675
HPはこちら