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府中に息づくお店探訪 「リペアショップ シャルム」 in フォーリス

府中のまちを見守る修理屋さん        

「フォーリス」の1階には、市内外から修理の技術を求めたお客さんが訪れる「リペアショップ シャルム」があります。ここでは、靴の修理はもちろん、バッグのクリーニングや合鍵の作製など様々な「直す」作業が行われています。今回は、代表取締役の渡辺勇人(わたなべはやと)さんにお話を伺いました。


このお店では、基本的には靴の修理を行っています。他にも、合鍵作成やカバン・バッグ・傘の修理、靴とバッグのクリーニングや表札作成など、ちょっと困った時に頼りになるようなサービスを色々取り扱っています。

靴修理の場合は、かかとの修理程度であればお預かりしてその日のうちにお返しするというスタンスでやらせていただいています。

今年フォーリスが28周年ということでこの店の来歴について両親に聞いたのですが、このお店は元々祖父が昭和39年から靴のお店をやっており、そこから数えて今年でちょうど60周年となるようです。祖父が浅草で草履屋を営んでいたのですが、そこから府中の商店街に移転して22年ほど営んだ後、再開発に合わせてフォーリスに入ることになり、今に至っています。

(様々な商品が並ぶ店頭)

個人店ならではの強みを生かして

うちのような個人店だと、あまり縛りがないためかなり自由にできるということが強みかなと思います。チェーンの修理店さんだとできることが限られているため、断られたという物でも、うちに持ってくればできることがあったりします。できることは何でもやりたいと思っているので、その辺はやっぱり他にはない強みですね。

そのおかげかはわかりませんが、横浜や八王子からわざわざ来てくださる方もいらっしゃって、声をかけていただくことがあります。遠くからもお客様がいらしてくださるのはうれしいですね。

また、靴は外出しないと使わないものなので、コロナの影響が結構ありました。コロナが落ち着いた今、これからどう頑張っていくかが本当に大事だと思うので、卸問屋や他の店舗たちとお話をして、うちの店だけではなく、靴業界として何かできたらと考えています。具体的には、今まで取り扱いの無かった材料などを扱うことで商品の幅を広げていき、それを強みにして、これから業界全体を良くしていければと色々と模索しています。

(かわいい物好きな渡辺さんセレクトの商品たち)

なんでも全力で           

お店をやる上で大切にしていることは、やっぱり毎回その時にできる全力で対応したいということですね。
例えばこちらの体調が悪いことや疲れていることはお客様にとって関係のない話なので、 その時に出せる全力で取り組んでいます。綺麗にできるものは綺麗に、全部できる範囲で全力でやりたいということを考えています。

(筆者;疲れちゃったりしないですか?)

それもありますね。ただ、それでパフォーマンスが落ちてしまったりすると、それでお客さんが離れてしまったりもするので、どんな時でも変わらずできるようにならないといけないなと考えています。

(インタビューに答えていただいている渡辺さん)

古いお店も新しいお店も

再開発になる前はとても古い商店街だったので、うちのお店も建て替えないといけないぐらい老朽化が進んでいたらしいんです。でも、再開発で全部のお店がなくなるのではなく、結構残っているお店もあったりするので、現在の府中では一見全く新しいまちに生まれ変わったようにも見えますが、実際には新しいお店も昔ながらのお店も入り混じっていて、見ていて面白いんじゃないかなと思います。

また、お店が充実しているのも魅力ですね。買い物に行くとしても、基本的になんでも府中で済んじゃうんです。駅周辺ではなんでも買えて、少し離れれば自然が豊かだったりして、色々入り混じった不思議なところだなと感じます。

(大國魂神社のうちわや熊手など)

「直す」という言葉の難しさ

この仕事をしていて難しいなと感じるのは、考えのすり合わせですね。お客様と直す側それぞれの主観がどうしてもあるので、 こちらが良いと思ってやったことが、お客様にとっては違うというようなことがあったりします。 例えば、お客様には黒色に見えていたものが、元々は濃い茶色だったりするので、濃い茶色で塗ると、違う色になったのではないかと言われるようなことはたまにあったりします。
うちでは作業前に写真を撮っているので、それを見せると納得していただけたりはするのですが、その辺はやはり難しいところだなとは感じますね。

また、お客様の中には修理に出すと新品になって返ってくると思っている方がいらっしゃったりもします。私たちとしてもできるだけ綺麗にはしたいのですが、やはり新品には戻らないので、難しいところですね。でも逆に「こんなに綺麗になるの!」って言ってくれたりするお客様もいらっしゃるので、喜んでもらえると、とても嬉しくなりますし、やっててよかったと思いますね。

(修理中の靴)

まちとの繋がりを大切に

まちとの繋がりみたいなものだと、Facebookで「府中市いいとこ‼」というコミュニティがあるのですが、 それにうちからも投稿をさせていただいています。 そこからお客様がうちのお店に来てくださったり、どこかへ出かけた投稿に「私も行きました」とコメントしてくださったりして、まちのひととの繋がりを感じていますね。これからも、地域に密着して、愛されるような店舗になりたいと思っています。
うちのお店って、必要なときに来る人が多くて、ちょっと見かけたから入るようなお店ではなかなかないんですよね。ただ、これからは他のお店に行くついでに入ってこられるようなお店になれたらいいなと思っていて、 用事がなくても顔を見に来てくださる方の輪を広げていけたらいいなと思っています。

(お店の外観と渡辺さんと筆者)

筆者コメント

比較的新しい施設であるフォーリスの中にまさかこんなに歴史のあるお店があるなんて、驚きでした。FacebookなどのSNSを介したコミュニティで、技術が進歩したからこそ生まれるあたたかな繋がりが、今後も府中を超えて広がっていくことが楽しみです。

↓シャルム様HPはこちら

http://fuchucharme.com/

(文:野崎夏帆 東京農工大学院1年)

(写真:森田大輝 東京外国語大学院1年)

公開日:2024.05.23 / 最終更新日:2024.5.31

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